古民家レストランでランチを

大仏や長谷観音などの人気観光スポットが集まるメイン通りから、今度はちょっと一歩路地へ。住宅地の一角にあるのが、築約90年という古民家をリノベーションしたレストラン「0467 Hase kamicho」だ。

0467 Hase kamichoの店内。元の民家のものを活かしつつ、壁や床などはリノベーションされている

オーナーの加藤圭吾さんはもともと鎌倉の出身で、鎌倉で店をはじめるまでは、東京でレストランなどの店舗プロデュースをされていたという。そのようなバックグラウンドもあり、「0467 Hase kamicho」の空間デザインには、こだわりと卓越したセンスが感じられる。天井や柱などは元の民家のものをそのまま利用しているが、壁や床などは白と黒を基調にリノベーションされ、木のぬくもりと都会的な洗練が調和した、見事な空間が広がっている。

なぜ、レストランをはじめるにあたって「古民家」という素材を選んだのかをうかがうと、「鎌倉は、東京からの距離が近く、普段からクオリティーの高いお店に慣れ親しんでいる都会的な人も多く訪れる土地柄。鎌倉が本来持つ歴史や伝統を活かしながら、そうした人々にも十分に満足していただける洗練された街という『こうあってほしい鎌倉のイメージ』を表現する場として、古民家を現代的にリノベーションすることが最適」だったのだという。

また、鎌倉でも景観破壊が問題になっている中で、「もとからその場所にある古民家を再生することは、その『場所の記憶』をとどめつつ、新しい風土をつくるという意味でも意義のあること」と語る。

鎌倉野菜に地元の鮮魚も

さて、今回いただいたのは同店の人気メニュー「ランチプレート」。一皿(プレート)に魚や野菜等のサイドディッシュ、主菜、サラダが盛り合わせになったものに、ご飯またはパン、スープ、食後の飲み物がついている。「ランチプレート」にはAプレート(3,780円)とBプレート(2,700円)があり、それぞれ主菜の内容が異なり、Aプレートは副菜が1品多くなっている。

「ランチプレートB」(2,700円)のプレート。スープとパン、さらに食後には飲み物が提供される

同店のコンセプトは「地産地消」。鎌倉野菜や相模湾の鮮魚など地元の食材を中心に使った、イタリアンをベースに和のエッセンスを加えたおいしい料理をお手頃な値段でいただけるのが、オススメのポイントだ。

●information
0467 Hase kamicho
住所: 神奈川県鎌倉市長谷3-8-17
アクセス: 江ノ島電鉄長谷駅より徒歩5分
定休日: 火曜日

「0467 Hase kamicho」からちょっと足を伸ばすと光則寺という寺院がある。桜のほか、春先には本堂前の見事な海棠(かいどう)の古木が花を咲かせることで知られる。また、長谷寺にも本数はさほど多くはないものの桜がある。境内からの海の眺めも抜群で、のんびり境内散策を楽しむのをオススメしたい。

光則寺参道もまた、桜の名所だ

※記事中の情報は2016年3月時点のもの。価格は税込

筆者プロフィール: 森川 孝郎(もりかわ たかお)

旅行コラムニスト。京都・奈良・鎌倉など歴史ある街を中心に撮影・取材を行い、「楽しいだけではなく上質な旅の情報」をメディアにて発信。観光庁が中心となって行っている外国人旅行者の訪日促進活動「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の公式サイトにも寄稿している。鎌倉の観光情報は、自身で運営する「鎌倉紀行」で更新。