生理の出血と勘違いする可能性も

ただし、尿が赤っぽく見えても血尿ではないこともあります。例えば、高熱や脱水によって尿が濃縮されて茶褐色になっている、薬の影響で色がついている、生理のときに出た血液が尿に混じっている、といったケースです。

実際に生理中にトイレで赤っぽい色の尿を目にして、生理の出血か、ほかの原因で血尿が出ているのかで悩む女性は多いようです。どちらかを簡単に見分ける方法があればよいですが、実際には、見た目だけで原因を特定することはできません。

血尿以外の症状がポイントに

もし頻尿、残尿感、排尿時の痛み、腹痛など、血尿のほかにも症状があれば、生理の出血ではなく、尿路感染症や結石などによる血尿である可能性が高い、ということは言えます。しかし前述のとおり、膀胱ガンや腎ガンなどの悪性腫瘍の場合は、血尿以外にまったく初期症状がないことが多く、血尿以外に症状がないからといって生理の出血だとは言い切れません。

なおガンの場合は、血尿の症状が一時的にしか出ないこともあります。ちょうど生理中に血尿が出て、生理が終わったら見られなくなった場合、「やっぱり生理の出血だったんだ」と安心して放置している間に、腫瘍が進行する恐れもあります。

病気を見落とさないためには、「血尿かも」と思ったら自己判断せず、医療機関で尿検査と診察を受けることが重要です。そのときに生理中であれば、必ず医師にそのことを伝えてください。

※画像は本文と関係ありません

記事監修: 善方裕美 医師

日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医
1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。

主な著書・監修書籍
『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』
『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』
『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など