――山田さんは先ほど、再び演じることへの不安を仰っていましたが……

山田「もうやるしかないなって。逃げられないですから。本当は逃げたかったんですけど(笑)」

吉田「収録にちゃんと来てくださって、本当に良かったです(笑)」

山田「全国で待っていてくださる方がたくさんいらっしゃると思うと……もう逃げたいやら、ありがたいやらで」

――初対面のときはいかがでしたか?

吉田「初めてお会いして、ご挨拶させていただいた時、声を聞いた瞬間に『パルモンだ!』って思いました。間違いなくきのこさんはあの方だって(笑)」

山田「私も最初、ミミっぽいなって思いました(笑)。どんな人なんだろうと思って……楽しみにはしていたんですよ?」

吉田「本当ですか?」

山田「それで実際にお会いしたら、想像していた通りだったので、良かったって思いました。私よりも全然大人なんですよ。フェスのときもけっこうフォローしてもらっちゃって(笑)」

――実際にミミを演じてみた感想はいかがでしたか?

吉田「こういう風にしよう! とかカッチリと決めるわけではなく、大まかなイメージで収録に臨みました。それで実際に演じつつ、周りの方とお話しながら修正していきました。ただ、実際に映像になったものを観ると、思い通りには出し切れていないんじゃないかって反省点もあります。でも、ミミだからって頑張り過ぎると、たぶん違う方向に行ってしまうので、そのときに思ったことを素直に出していければいいなって。彼女が持っている紋章は"純真"なので、"純真"に演じていきたいと思います」

山田「スタッフさんがミミとして選んでくれたんだから大丈夫だよ(笑)」

――一方、山田さんは久しぶりにパルモンを演じてみていかがでしたか?

山田「もう何も考えないでやろうと思ったんですけど、実際に現場に来たら、懐かしい顔ぶれがいっぱいいて、当時の感覚が蘇ってきて……なんであんなに悩んだんだろうって、ちょっとだけ思いました(笑)」

吉田「やっぱりデジモンたちの掛け合いってすごく素敵だし、魅力の一つだと思います。これまで一緒に時間を過ごしてきたのが素直に出ている気がします」

山田「デジタルワールドをみんなで旅しましたから(笑)」

吉田「そのあたりが計算じゃなく、自然と溢れ出てくる、滲み出てくる感じがすごく素敵だと思います。ゴマモン役の竹内順子さんが『心機一転で』と仰っていましたが、『心機一転』しようと皆さんが思ってくださっているからこそ、新しく選ばれた私たちもすごく現場に溶け込みやすかったんだと思います。その意味では同じスタートラインに立てたという感覚もあるのですが、やはり積み重ねてきたものも感じます」

山田「子供たちのキャストが変わったことが、逆にリアルだなって思いました。15年経って大きくなったなあ、みたいな感じで(笑)。ただ、(前田)愛ちゃんはエンディングテーマを歌っていたりして、いわばデジモンの顔みたいな存在だったじゃないですか。そのあとを受け継ぐのは大変だろうなって思いました」

――やはりプレッシャーが大きかったのでは?

吉田「すっごく大きかったです。作品の大きさももちろんですし、ミミというキャラクターは本当にたくさんの方に愛されていたので、最初は不安しかなかったです。でも、アフレコに行って皆さんとお会いしたり、フェスに参加したり、第1章が上映になったり……そういった過程を踏んでいくにつれて、徐々にプレッシャーを超えた楽しさが出てきました。今は、次に向けたワクワク感のほうが大きくなってきています」

――第2章「決意」ではメインの役どころになっています

吉田「そうなんですよ!」

山田「ビックリしました。順番早くない? って(笑)」

吉田「全6章の中でも第2章はすごく明るい作品になると聞いていたので、そういう意味ではミミとパルモンにもピッタリだったかもしれません」

――明るい中にも心理的には暗い部分もありますよね

吉田「ミミの葛藤ですね。彼女は本当に天真爛漫な子なんですが、大人になるにつれて、周りからのプレッシャーが今までとはちがう角度からかかってきた。それが大人になるということだと思うのですけど、以前なら素直にごめんなさいと言えたことが、でも私は間違っていないという思いが強くなったが故に、芯の部分がしっかりしてきた故に、周りとぶつかってしまうというのは、私自身もすごくよくわかる部分ですね。その部分も隠さずに、まっすぐ出していきたいですし、そこを乗り越えていくミミを表現できたらいいなと思っています。第2章のサブタイトルは『決意』なんですけど、ミミなりの『決意』を気づかせてくれるのがパルモンであり、丈先輩であったりします。その関係性においては、ミミという存在は子供の頃とまったく変わっていないので、素直にリラックスして、無駄な力を入れずに演じられたらいいなと思っています。計算するのではなく」