遠藤憲一と渡部篤郎という"おじさん"2人の主演で放送されている関西テレビ・フジテレビ系ドラマ『お義父さんと呼ばせて』(毎週火曜22:00~22:54)。遠藤演じる中小企業の熱血営業マン・大道寺保が、同い年の渡部演じる大企業のクールな役員である花澤紀一郎の娘・美蘭(蓮佛美沙子)と結婚を約束するものの、紀一郎が猛反対するという姿をコミカルに描く、原作のないオリジナル作品だ。
この中で、紀一郎の長男でありながら、結婚騒動を冷めた目で見ている花澤葉理男を演じているのが、中村倫也。そして、紀一郎から大道寺への恋の刺客として美蘭に告白をし続けるハイテンションな砂清水誠を演じているのが、山崎育三郎。冷静な葉理男と、熱い砂清水……正反対な役柄の2人に話を聞くと、次第に意気投合しはじめた――。
――まずは、今回の自身の役柄についての思いと意気込みを教えてください。
中村 今回のような笑える人間たちがいっぱい描かれている中で、常にクールぶって俯瞰(ふかん)で見ているキャラクターというのは、作品のバランサーとしても大事な役だと思います。渡部篤郎さんと和久井映見さんの息子役で、遠藤憲一さんの演じる大道寺保の影響も受けるという役どころで、すてきな先輩たちと一緒に仕事ができることを楽しみながら、毎日やってますね。
山崎 実は、今回のようなハイテンションな役は、ほぼ初挑戦なんです。監督からは「とにかくエネルギーを持って"やり過ぎ"と言われるくらいで」と指示をいただき、渡部さんからも「ガンガンいけ!」と言っていただいているので、毎回、砂清水が出てきた時に、視聴者の皆さんがフッと笑えるような存在でいられたらと思っています。
――役柄と自身との共通点はありますか? 中村さん演じる葉理男は、他人のことには干渉しないという信条を持っていますが。
中村 基本的には似てますね。どこか冷静というか、人が盛り上がれば盛り上がるほど、冷静になっていくんです。気分屋で子どもみたいなところが似てます。
――第5話(16日放送)で、葉理男は女装姿を披露することになりますが、中村さんは今まで、女装した経験はあるのですか?
中村 仕事でも何度かあるのですが、小さい頃、祖母に面白半分で着せられていたんです。この前、祖母の家に行って、今度ドラマで女装をやるということで当時の話題になったんですけど、3歳くらいの時、祖母に女装をさせられたら、僕が「俺は男だ!」って叫んだそうなんです。
――森田健作ばりの抵抗ですね(笑)
中村 女装させられていたのは覚えていたんですが、雄たけびを上げていたというのは、忘れていた記憶でした(笑)
――あらためて今回女装をやってみて、いかがでしたか? 見た目は完全にかわいい女の子になっていますが。
中村 毎回女装をやると思うんですけど、これは僕がどうこうじゃなくて、メイクとか衣装とかスチール写真の技術のおかげだと思うので、すごくありがたいなと思います。きれいにしてもらって、感謝ですね。
――個人的にも女装にハマってしまいそうな気持ちはありますか?
中村 そうですねぇ…でも、現代社会で女装する人は結構多いみたいですよ。Yahoo!知恵袋を見たら「私は女装が趣味なんですけど、変ですか?」という質問があって、その返信欄には「それは良いと思います」とか、「ストレスのはけ口として分かります」とか、「街に出たくなりますよね」とか、ズラーっとありました。こんなに多いんだって思いましたね。
――5話の放送を見ると、共感される方も結構いそうですね。
中村 そういう人たちの思いを一身に背負っていきたいですね。東京代表の甲子園出場校のような気持ちで(笑)
――山崎さんは、中村さんの女装を見て、いかがですか?
山崎 かわいいですよね! レベルが高すぎて、笑えないくらいきれい。よーく見ても男だと分からないですよ。指が細くて長くて、女性の手みたい。僕はマフラーを巻いてピースサインしているのが一番好きです。
中村 どこかの事務所に、この写真で応募してみようかな…
山崎 受かるよこれ!
―― 一方、山崎さんは役柄との共通点はいかがでしょう? 砂清水はかなりハイテンションなキャラクターですが…
山崎 僕は役とは真逆だと思っています。ただ、砂清水という人物は、単なる若いイケイケの男じゃないと思っていて、ちょっと昭和の香りがするんです。第4話で、美蘭ちゃん(蓮佛美沙子)と三代目J Soul Brothersのカラオケを歌ったんですけど、ちょっと無理している感じで(笑)。
美蘭ちゃんに好かれたくて一緒にカラオケに行くために、そして保さんとの差をつけるために、「僕はこんな最新の曲を歌えるんだぞ」ってアピールしてたんだと思うんです。僕も最近の曲はあまり分からなくて、どちらかと言うと歌謡曲とか、昭和の曲が好きだったりするんで、その部分は砂清水と近いかなと思っているんですよね。
中村 普段はカラオケで何を歌うんですか?
山崎 美空ひばりさんの「愛燦燦」とか…。
中村 あぁいいじゃないですか! 一緒に行きてぇ!(笑)
山崎 行きましょう(笑)。祖母とかと一緒にカラオケに行って喜ぶ曲を歌うんです。だから、たまに氷川きよしさんとかもリクエストされたりして(笑)
――それで昔の曲の方が親しみを感じるのですね。そんな砂清水は、ハイテンションでイケイケのキャラクターですが、山崎さんのミュージカルの経験が生かされているのですか?
山崎 ミュージカルは基本、日本人の役がないんですよ。いつも外国の方の役でカツラを付けて、すごい衣装でメイクもバッチリして、つけまつげを付けてやるんで。だから、こういうドラマのお芝居のハイテンションとは違うので、自分としては新しい感じですね。でも、監督からは、普通のお芝居をちょっと誇張したようなキャラクターを求められているので、舞台に近い部分もありますね。
――今作は28歳差の恋愛というのが1つのテーマになっていますが、ご自身に置き換えてみて、年の差の恋愛はいかがですか?
中村 何歳だろうと、ほれる人には年上でも下でも、ほれるんでしょうね。ペタジーニ(※)みたいなこともありますし。
(※)ペタジーニ…ヤクルト、巨人で活躍したプロ野球の助っ人外国人選手。友達の母親(24歳年上)と結婚したことで有名。
山崎 僕はどちらかと言うと、年上の女性に魅力を感じるので、50代でも全然OKです。ミュージカルの女優の先輩は、皆さん50代でも60代でもすごくきれいですし、年齢はあんまり関係ないと思いますね。