東京都交通局は12日、「東京都交通局経営計画2016」を策定し、交通局ホームページに掲載した。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催とその先の将来を見据え、2016年度から2021年度まで6カ年の取組みをまとめたもので、都営地下鉄をはじめとする各路線への新型車両の導入や駅施設の改良、ホームドア整備などの取組みが示された。
都営地下鉄の2014年度の乗客数は1日あたり約251万人。今後は都営大江戸線を中心に乗客数の増加が見込まれる。このほど策定された経営計画では、2020年東京五輪に向けた取組みとして、都営新宿線・都営浅草線のホームドア整備、都営大江戸線の利便性向上と輸送力増強などが挙げられた。あわせて2020年に開業60周年を迎える都営浅草線のリニューアル・プロジェクトも明らかにされた。
ホームドアはこれまでに都営三田線・都営大江戸線で整備が完了しており、都営新宿線も2019年度までに全21駅で整備を進める。都営浅草線は京急線・京成線など他社の路線と相互直通運転を行い、乗入れ車両数も多く、これまでの方式でホームドアを整備するには課題が多いことから、泉岳寺駅・大門駅にて、車両の改修をともなわない方式で先行的にホームドアの整備が進められることに。技術開発の動向も注視しつつ、関係各社との協議を経て全駅への整備をめざすとしている。
泉岳寺駅では市街地再開発事業と一体となった大規模改良工事(ホーム・コンコース拡張、エレベーターの増設など)も行う。同駅付近にJR山手線・京浜東北線の新駅も設置される予定で、JR新駅との歩行者ネットワークを形成するとともに、交通結節点としての機能充実、相互直通運転を行う各社と連携した空港アクセス強化も図られる。2018年度から工事に着手し、周辺の街開きが予定される2024年度の完成をめざす。
新型車両の導入による車両更新も実施。都営浅草線では現在、5300形が計27編成(8両編成、計216両)在籍しているが、今回の経営計画によれば、都営浅草線は2021年度までに全27編成を更新するとのこと。先行して2017年度に1編成を導入し、2018年度にも7編成を導入する。都営新宿線は2016年度・2017年度に5編成ずつ導入して車両を更新し、8両編成から10両編成への輸送力増強も進める。
乗車人員が急増し、今後も臨海地域の開発などによる需要増加が見込まれる都営大江戸線では、勝どき駅の大規模改良工事(ホーム増設・コンコース拡張など)を進めるとともに、2018年度中に3編成を増備。大泉学園町方面への延伸にも触れ、「収支採算上の課題がありますが、その解決に向けて引き続き関係機関と連携していきます」とのことだった。現在、都営大江戸線から都営浅草線へ地上乗換えとなっている蔵前駅についても、連絡通路の新設に向けた検討を進めるという。
都営地下鉄ではその他、駅施設のエレベーター整備やトイレの改修、多言語対応券売機の導入、地下鉄車内の無料Wi-Fi環境の整備など、質の高いサービス提供にも努める。日暮里・舎人ライナーは2016年度、朝ラッシュ時間帯の混雑緩和を目的に、新たに1編成を増備。都電荒川線は2016年度までに7000形の全車両を更新する。日暮里・舎人ライナーと都電荒川線では、2017年度をめどに駅ナンバリングも導入される。