約3年ぶりとなる"特撮"のオリジナルアルバム「ウインカー」が2016年2月3日リリースされた。

特撮のニューアルバム「ウインカー」(初回限定盤)のジャケットイメージ

本作には、大槻ケンヂ原作の映画『ヌイグルマーZ』の劇中歌「シネマタイズ(映画化)」をはじめ、大槻ケンヂとNARASAKIが楽曲提供を行ったTVアニメ『監獄学園』のオープニングテーマ「愛のプリズン」をセルフカバーした"特撮ver."のほか、新曲9曲を含む全12曲が収録される。

そこで今回は、ニューアルバム「ウインカー」の発売にあたり、今年50歳を迎えるボーカルの大槻ケンヂが語った本作の魅力を紹介しよう。

大槻ケンヂが語る"特撮"ニューアルバム「ウインカー」

――今回のアルバム「ウインカー」はどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか?

大槻ケンヂ

大槻ケンヂ「コンセプトというのはだいたい後付けの場合が多く、『こんなアルバムを作ろう!』といって作ることはあまりないです。"特撮"はメンバーが複数のバンドをやっていたりしてみんな忙しいので、なかなかアルバムを作る機会がない。それが今回、ちょうど全員のタイミングがあったので、じゃあアルバム作れるねと」

――どのような曲を作ろうといった話し合いなどはあったのですか?

大槻「最初ナッキー(NARASAKI)がバンド感を出したいと言うので、セッション的なことをしてみました。打ち込みで作ってくるというよりも、そうやってみんなであわせて作る、みたいなことが多かったです」

――セッションをとおして曲のイメージを作っていくわけですね

大槻「セッション的なことがメインになりましたが、その前に簡単な打ち込みで作った曲もナッキーが何曲か持って来ていたんですけど、それはラウドなサウンドと言うよりは、ちょっとドライビングミュージックっぽい感じだったので、今回はそういう方向なのかなって思っていました。もちろん作っていくうえで、ラウドな部分、ハードな部分、パンクな部分も加味されていき、最終的にはいわゆるドライビングミュージックとは離れたアルバムになりましたが、本当のプロトタイプな部分では、わりとFM感があった。ただそれは、ちょうどその頃に、僕が10年ぶりに車を購入して、ドライブに行ったりしていたので、そういう風に聴こえたのかもしれません」

――そのあたりが今回のアルバムタイトルである「ウインカー」にもつながっているのでしょうか?

大槻「本当にわずかなきっかけで、人生や世界は大きく変わってしまう……そんなことを歌詞にして歌ってみたいと思っていたときに、車に乗ったりしていたので、"ウインカー"というキーワードが出てきたんだと思います。ウインカーって右に左に変わるでしょ? あれをちょっと曲げただけで高速(道路)に乗っちゃうんですよ? ビックリしますよね(笑)。そんなタイミングで聴いたデモテープが、とてもドライビングミュージック的だった。そんないろいろな要素が加わって、タイトルは『ウインカー』にしようと」

――つまりタイトル自体は早い段階で決まっていたんですね

大槻「ちゃんと決まったのはそれほど早いタイミングではなかったです。ただ、車モノでいこうと思ったのがわりと早かったかもしれません。僕はちょっと変なところがあって、実際に見ていないものにインスパイアされて、詞を書いたりタイトルを決めたりするところがある。デビット・リンチの"交通事故"の映画があるじゃないですか。僕は観たことがないんですけど、何となくこのアルバムはそういうことだなって(笑)。あと、これは実際に読んでいるんですけど、諸星大二郎先生の描く不条理なSF短編みたいなものをやりたいなっていう気持ちもありました。不条理なものはいつもやりたいと思っているんですけど(笑)、特に今回は不条理でいこうと思ってました」