ANAホールディングスは1月29日、取締役会にて「2016~2020年度ANAグループ中期経営戦略」を策定。グループ収益の柱であるFSC(フルサービスキャリア)国内線事業の収益性を維持しつつ、FSC国際線事業・LCC事業・貨物事業を積極的に拡大する。
事業戦略として、エアライン事業領域の拡大においてはあらゆる需要層をターゲットとして、FSC、LCCの両ブランドの訴求力を高め、エアライン事業領域の拡大を通じて安定した収益基盤の確立を目指す。ANAはビジネス渡航需要を主たるターゲットとして事業を展開してきたが、今後はリゾート路線のプレジャー需要なども含め、幅広いニーズに対応できるよう事業領域を拡大する。
そのひとつの手段として、超大型機であるA380を3機導入することを決議した。需要が旺盛な首都圏=ホノルル路線において、A380がもたらす座席あたりコストをおさえた効率的な生産量拡大と、様々な顧客層にあわせた柔軟なプロダクト展開を実現させる。あわせて、旺盛な訪日需要をさらに取り込みながら日本市場における新たな需要を喚起することで、LCC事業の成長をさらに加速させていく。
FSC事業に関しては、国際線旅客事業において積極的な路線展開を行い、グループ全体収益をけん引を目指す。首都圏空港の再拡張にあわせたデュアルハブ戦略の完成形を目指し、成田の夕方・羽田の午前/深夜と首都圏で1日3つの乗り継ぎダイヤの集中時間帯を構築する「首都圏3バンクモデル」を構築することで、乗り継ぎ利便性の向上を図る。
また、他キャリアとの共同事業(JV)の深化や、新たなパートナーキャリアとの提携を進め、ネットワークをさらに充実させていく。さらに、既存路線の積極的な増強を継続することに加えて、アジアの未就航地点や中南米などの「ホワイトスポット」への展開を図る。2020年度末の国際線の生産量(座キロベース)は、2015年度比151%を計画している。
国内線旅客事業においては、高需要期における大型機稼働の最大化と低需要期における小型機稼動の最大化を両立させる「ピタッとフリート」モデルのさらなる推進により、収益性の維持・向上を図る。成長の続くアジアの訪日需要を取り込み、さらに国内線で各地へ送客することによって、地方創生に貢献していくという。
国内線サービスとして、全ての乗客に対する「ストレスフリー」な搭乗モデルを追求するとともに、 機内Wi-Fiやリアルタイムで最新のニュースやスポーツ中継を無料視聴できるLIVE TV、新シートなどの充実により、快適な空間の創出を目指す。なお、同中期戦略期間中に初号機の受領を予定する小型機MRJは、地方路線を中心に活用し、需給適合の強化につなげる。2020年度末の国内線の生産量(座キロベース)は、2015年度比96%を計画している。
バニラエアの2020年のネットワーク(イメージ) |
100%子会社のバニラエアで実施するLCC事業では、日本マーケットにおける新たな需要の創造と旺盛な訪日需要の獲得により、首都圏NO.1のLCCブランドを構築し収益モデルとして定着することで、グループ「第4のコア」事業への成長を目指す。重点的な取り組みとして、日本発プレジャー路線(ANA未就航地/リゾート)への進出、中国大陸/沖縄発着国際線への参入による訪日需要のさらなる獲得、競争力のあるコスト構造の確立、高性能機材の導入検討を計画している。2020年度末の生産量(座キロベース)は、2015年度比318%を計画している。
新機材の導入に関しては、FSC事業における国内線の需給適合推進と、国際線の事業規模拡大のための機材確保を継続しつつ、さらなる事業領域拡大を担う機材の導入を進める。また、省燃費機材のシェアを2020年度末で約75%まで高めていくとしている。