政府は1月4日、平成27年度補正予算案を国会に提出した。 この補正予算案には、「一億総活躍社会」の実現に向けた政策などが盛り込まれている。このうち3,624億円を計上しているのが、低所得の年金受給者1人に対して3万円が支給される「年金生活者等支援臨時福祉給付金」だ。子育て世帯の子ども1人に対して3,000円を支給する「子育て世帯臨時特例給付金」が平成28年度以降、廃止されることもあり、一部からは「高齢者優遇だ」と批判の声があがっている。それぞれの政策の内容や、twitterでの反応をまとめた。
自民党部会でも「高齢者優遇」との声が続出
政府が提出した平成27年度補正予算案は、「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」「TPP関連政策大綱実現に向けた施策」「災害復旧・防災・減災事業」などを柱としているもの。このうち「一億総活躍社会」についての政策では、保育・ひとり親家庭の充実、介護離職ゼロのための介護人材の育成などに、3,951億円が盛り込まれている。
加えて、子育てと介護の施策をあわせた政策と同規模の予算を計上しているのが「年金生活者等支援臨時給付金」だ。この給付金は、低所得の年金受給者を対象として支給されるもの。「賃金引き上げの恩恵が及びにくい低年金受給者への支援」「高齢者世帯の所得全体の底上げ」を目的としているという。
そんな中、この施策と対比して批判が寄せられているのが「子育て世帯臨時特例給付金」の支給継続中止だ。これは、高所得世帯を除く中学生までの子ども1人に対して3,000円を支給するというもの(平成27年度)。消費税率引き上げの影響を踏まえ、臨時特例的な措置として実施されていた。
一部報道によれば、2015年12月に開かれた自民党の合同部会では、若い世代に比べて高齢者への支援を優遇しているといった意見が相次いだ。さらに、投票率が高いといわれている高齢者の支持を狙った選挙目当ての政策だという批判もあったという。
「日本は少子化推進国」「選挙にさえ勝てれば国がどうなってもいいのか」
これらの批判に関連して、twitter上でも多くの意見が寄せられた。「一般市民なんぞ、子育てにかかるお金稼ぐだけでひーひー言ってるのに支援まで取り上げるとか。日本は少子化推進国なんですね」「こんなんで少子化だから子ども産め産めってふざけるなよ。一億総活躍どころか一億死んじゃうよ」など、少子化対策を推進するという政府の目標と解離した対応だという指摘が主要なものとなっている。
続いて多かったのが、選挙対策ではないかという批判だ。「子育て給付金の3,000円を廃止して高齢者に3万円。選挙にさえ勝てれば国がどうなってもいいのだろうか」「子育て給付金の1人3,000円なんて、子の多いわが家にはほんの数日間の食費で消えたような額だけど、それも廃止され、代わりに高齢者に3万円。お年寄りは子どもの10倍の価値。いや、10倍の価値ある票田ね」といった厳しい意見が目立つ。
平成27年度の補正予算案、平成28年度の予算案では、それぞれ子育てに関する政策が多く盛り込まれている。しかし、子育てしやすい環境整備については、まだまだ課題があると言わざるを得ない。OECDの調査(2014年発表)によれば、国の支出のうち、公教育にかかる割合は9.1%とOECD加盟国中2番目に低い数値となっている。加えて、2013年にOECDが発表した「税金面から見た子育て世帯優遇度の国際比較」では、子育て世帯の税負担の優遇度についても加盟国中9番目に低い結果となっているのだ。
高齢者への支援はもちろん必要だ。しかし、子育て世帯に対しても、これらの批判が続出するようなことがないよう、充実した政策の実行が求められている。