睡眠不足やストレスが原因となって現れる大人ニキビ。自己流で"治療"をしてしまうと重症化を招く恐れもあるため、適切な処置を早い段階でしておくことが大切だ。
今回は南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長である服部英子医師に、大人ニキビの治療法について伺った。
治療方法は3種類
ニキビの発症には「皮脂」や「角化異常」「アクネ菌(ニキビ菌)」「炎症」などが複合的に絡みあっている。これらの因子に対してケアをしていくことが治療法となるが、その方法は3種類に大別できる。
内服療法
ビタミンB2やB6などのビタミン薬、抗生物質や漢方薬などを服用する治療法。男性ホルモンの「アンドロゲン」もニキビの原因となるため、ホルモンバランスのチェックが必要になる場合もある。
「脂質代謝をコントロールするため、基本的にビタミン剤のB2、B6を飲むケースが多いと思います。抗酸化作用のためのビタミンCも含まれますね。症状がひどい場合は抗生物質を服用します」。
外用療法
塗り薬としての抗生物質、レチノイド、過酸化ベンゾイルやイオウ製剤などのクリームまたはローションで治療を試みる手法。
「赤みがひどい場合は抗生物質を塗りますし、毛穴のつまりを抑制するためには代謝を高めるレチノイドや過酸化ベンゾイル外用薬を塗ります。イオウ系の薬は昔からあって、角質などを柔らかくすることで毛穴が詰まるのを防ぎます」。
機械的処置
ニキビのでき始めである「面皰(めんぽう)」の時点で専用の圧出器を用いて内容物を外へ押し出す「面皰圧出」や、 皮膚にグリコール酸などを塗って皮膚の代謝を促す「ケミカルピーリング」(保険適用外)などがある。
スキンケア方法、間違ってない?
ニキビの予防・治療には洗顔や保湿といったスキンケアも大切な要素となる。ただ、「ニキビのためにいいから」と自己流のスキンケアをしている女性の中には、必ずしも適切な処置を行っていない人も多いと服部医師は警鐘を鳴らす。
「例えば、ニキビを厚めの化粧で隠す女性が見られますが、乾燥を嫌ってかジェルやミルクでクレンジングをして、結局あまり落ちていない人も多いです。私たちのクリニックでは、オイルやクリームでのクレンジングをお勧めしています」。
中には理由もはっきりとわからないまま、「オイルはニキビに悪い」と信じ込んでいる女性もいるそうだが、しっかりと化粧を落としきれないことの方がニキビにはNGと覚えておこう。
また、服部医師は洗顔のポイントとして下記の3つをあげたので、さっそく今日から実践してみよう。
■洗顔のしすぎや長くだらだらと顔をこする行為をしない
■お湯の温度が高いと乾燥につながるので、冬場は37~8度のぬるま湯で洗顔する
■乾燥が気になるようだったら、朝は脂が気になるTゾーンやあごなどの場所だけ洗顔フォームを使う
自分の肌に最適な治療法を見つけることが大切
ニキビの治療は、ニキビの状態や肌質、季節などによって異なってくる。頑固なニキビに悩まされているようだったら、自分の症状に見合った治療法を探すべく、専門の医療機関を受診するようにしよう。
※写真と本文は関係ありません
記事監修: 服部英子(はっとり ひでこ)
東京女子医科大学卒業。皮膚科専門医。日本皮膚科学会、日本レーザー学会、日本臨床皮膚科学会、日本アレルギー学会に所属。大学卒業後に東京女子医科大学病院やJR東京総合病院の皮膚科に勤務した後、2005年より南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長を務める。