国際通貨基金(以下、IMF)は30日に開催した理事会で、2016年10月から、中国・人民元を特別引き出し権(SDR)バスケットの構成通貨として採用することを正式決定した。菅義偉官房長官は1日午前の記者会見で「IMF理事会が判断したことであり、日本としても決定を尊重したい」と話した。
人民元の構成比率、円を上回る
IMF理事会では、SDR構成通貨バスケットについて5年ごとに定期見直しを実施している。今回の見直しでは、中国・人民元が構成通貨に含まれるための現行基準を満たしているかについて討議した結果、2016年10月1日から自由利用可能通貨として、人民元を米ドル、ユーロ、円、英ポンドとともに5番目の構成通貨に採用することを正式決定した。
2016年10月からのSDR構成比率は、米ドルが41.73%、ユーロが30.93%、人民元が10.92%、円が8.33%、英ポンドが8.09%となる。
IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事は「人民元をSDR構成通貨に含むとする理事会の決定は、中国経済を世界の金融システムに統合していく上での重要な一里塚である。同時にこの決定は中国当局が同国の通貨金融システム改革で過去数年にわたり成し遂げた前進の承認でもある。こうした努力の継続と深化は、より堅固な国際通貨金融システムを作り、それは転じて中国と世界の経済の成長と安定を支えることになろう」との声明を発表している。