日本旅行者と旅行者を受け入れるホストと、両社の状況と影響を調査

世界最大手のコミュニティ主導型ホスピタリティカンパニーのAirbnb(本社: 米国カリフォルニア州サンフランシスコ)は11月26日、日本の経済波及効果に関する調査結果を発表。Airbnbのコミュニティは、日本経済に年間で2,219億9,000万円の経済波及効果と、地方も含めた日本全国に2万1,791人の雇用機会をもたらしたことが明らかになった。

今回の調査は日本におけるAirbnbコミュニティがもたらす経済・社会・環境への影響を評価したもので、フランスやニューヨーク、ロンドンなどの都市にて実施された類似の調査に次いで、日本では初の調査となった。調査レポートにおける経済波及効果は、2014年7月~2015年6月の1年間にAirbnbを利用した国内での旅行を対象に、早稲田大学ビジネススクールの根来龍之教授率いる研究チームによって算出された。

ホストは収入の他、コミュニティ意識にも影響

Airbnbのホスト数は2010年より毎年倍以上増えており、現在、全国47都道府県の300都市以上に分布している。日本にいる5,000人以上のホストは、年間で約52万5,000人の世界中からのゲストを自宅に迎え入れ、約9万6,000人の人がAirbnbを使って日本から世界を訪れていることが分かっている。

過去1年間で毎月約10泊受け入れをすることで、日本のAirbnbホストは年間平均95万7,000円の収入を得ているという。ホストの平均年齢は37歳で、「アート、デザイン、クリエイティブサービス」職種で働く人が最も多く、定年後のシニア層も5%占めており、最も伸び率が顕著だったのが60歳超の年齢層となっている。特に日本のAirbnbホストは高学歴で、大学・大学院卒以上の人が全体の70%を占めている。

ホストへの影響は収入面だけではない。57%のホストが「ホスティングをすることで、地域のコミュニティとの接し方がポジティブになった」、62%が「物事の考え方がポジティブになった」と回答しているように、ゲストと家をシェアすることによるコミュニティ意識にも影響を与えていることが判明した。

ゲストの傾向は「滞在が長くお金を落とす旅行者」

ゲストは滞在1回につき平均3.8泊滞在し、1回の旅行で16万9,600円を費やしている。また、日本にやってくるAirbnbのゲストの69%がリピート客で、79%がAirbnbを使ったことで日本を再訪する可能性が高まったと回答している。

このことから、Airbnbに集まるのは一回の滞在が長く、たくさんお金を落とし、日本を再訪する確率が高い旅行者という傾向が見えてくる。なお、28%のゲストがAirbnbがなかったら旅行していなかった、あるいは、それほど長くは滞在していなかったと答え、65%がAirbnbを使うことで日本への旅費が節約できたと回答している。

実際に日本に訪れるAirbnbのゲストに意見をうかがったところ、90%が「地元の人のように暮らしたかった」、80%のゲストが「ある特定のエリアを深堀したかった」と答えている。なお、全体の77%が家族やパートナー、子供、親戚、友達を伴っての旅行であり、傾向としてひとりではなく複数人で利用する人が多いようだ。

滞在後の感想として、全体の90%のゲストが自分の泊まったところを友達や家族にすすめたいと回答しており、全体の90%が「清潔さ」の評価で4~5以上の高い評価をしているという。また、日本のゲストのうち93%が海外のユーザーで、54%がアジアからの旅行客となっている。実際、過去1年の間にAirbnbのホストたちは150カ国以上からゲストを迎えている。

今回の調査結果に対しAirbnb Japan代表取締役の田邉泰之氏は、「グローバルで成長を遂げているAirbnbは、日本の経済にも広く影響をもたらしています。自宅や空き部屋を生活を支える収入源にかえることで一般家庭の家計を支え、また、日本国内の観光のあり方を多様化させ成長させています。そして、日本でのシェリングエコノミーの発展に貢献するべく、自宅をシェアする人々を支援するための明確でシンプルなルール作りのために、政府や行政関係のみなさまと力を合わせていきたいと考えています」とコメントしている。