「東京ドラマアウォード2015」の作品賞(連続ドラマ部門)でグランプリを受賞したTBS系ドラマ『天皇の料理番』に出演し、それぞれ個人賞も受賞した佐藤健、黒木華、鈴木亮平が21日、東京プリンスホテルで行われた授賞式後に取材に応じ、作品や役に対する思いを語った。
同ドラマは、大正・昭和時代の宮内省厨司長を務めた秋山徳蔵氏の人生を描いた直木賞作家・杉森久英原作の同名小説が原作。田舎の少年が、一口のカツレツをきっかけに料理というものに夢を見て、ついには天皇の料理番を勤め上げるまでに成長する主人公・秋山篤蔵(佐藤健)と、彼を支え続けた家族や師、仲間たちの姿を描き、最終回は平均視聴率17.7%を記録した(ビデオリサーチ・関東地区調べ)。
TBSテレビ開局60周年記念作品として制作され、撮影期間は通常の連ドラの2倍にあたる半年間にもおよんだ大作。ドラマのキャッチコピー「どうしてこんなに、愛があふれているんだろう」の通り、この日、出演者から出てきた言葉は、どれも作品への愛が伝わってくるものだった。
主演男優賞を受賞した佐藤は、撮影が進むに連れて「役や共演者の方たちに対する思いが、どんどん強まっていった」と、より気持ちが入っていったことを述懐。「後半は(妻役の)黒木さんとか、(兄役の鈴木)亮平さんの顔を思い出すだけで、こみ上げるものがありました」といい、「芝居をしているんですけど、芝居じゃなかったんですよね。こういう経験も初めてでした」と超越した演技だったことを明かした。
主演女優賞を受賞した黒木は「個人賞もうれしいですけど、作品賞が本当にうれしいです」と第一声。「本当にみんなで大事に作った作品なので、(賞を)いただけてありがたいなと思います」と喜びを語った。また、スタッフへの感謝の気持ちも語り、「こんな幸せな現場に半年もいられたことが、自分でも信じられないくらい」と充実した撮影を振り返った。
病に冒されるという役作りで20kg減量したことも話題になった鈴木は、助演男優賞を受賞。「スタッフ、俳優部全員が、作品への愛情と自分の役への愛情と主演の(佐藤)健への愛情を、本当に心血そそいで作り上げた」振り返り、「愛情の大切さを教えてくれた作品です」と評した。また、真冬の撮影時に、和服の衣装で寒い中、佐藤が1回も「寒い」と言わなかったことを思い出し、「彼の覚悟、(現場を)引っ張っていくリーダーシップに感動して、彼のおかげで半年間、乗り切れたという思いがあります」と、座長・佐藤健を絶賛した。
審査委員長の杉田成道氏は「日本人としての誇りが表現されていたことと、文化・伝統・歴史がよく分かり、かつスケールの大きさ、俳優の優れた演技、スタッフの熱意など、ドラマの本質を根底に据えたことが、日本を代表する作品としてふさわしい」と講評。司会の石坂浩二も「日本の歴史の中でも、明治の終わりから大正というのは、あまり描かれたことがない。そこを描いたということに勇気を感じました」と評価していた。
東京ドラマアウォード2015 受賞作品・受賞者
●作品賞(連続ドラマ部門)
グランプリ:『天皇の料理番』TBSテレビ
優秀賞:『マッサン』NHK
優秀賞:『きょうは会社休みます。』日本テレビ
優秀賞:『アオイホノオ』テレビ東京
優秀賞:『デート~恋とはどんなものかしら~』フジテレビ
●作品賞(単発ドラマ部門)
グランプリ:『オリエント急行殺人事件』フジテレビ
優秀賞:『坂道の家』テレビ朝日
優秀賞:『遠い約束』TBSテレビ
優秀賞:『永遠の0』テレビ東京
優秀賞:『十月十日の進化論』WOWOW
●ローカル・ドラマ賞
『ここにある幸せ』NHK福岡放送局
『UBASUTE』北海道テレビ
●個人賞
主演男優賞:佐藤健『天皇の料理番』
主演女優賞:黒木華『天皇の料理番』
助演男優賞:鈴木亮平『天皇の料理番』『花子とアン』
助演女優賞:吉田羊『HERO』
演出賞:松江哲明、山下敦弘『山田孝之の東京都北区赤羽』
プロデュース賞:八木康夫『おやじの背中』
特別賞:シャーロット・ケイト・フォックス『マッサン』
J Series賞:『イタズラなKiss 2 ~Love in Tokyo~』
海外作品特別賞:『未生~ミセン~』(韓国)、『サミー・ティートラ~夫の証~』(タイ)、『娘のしあわせ』(インドネシア)
脚本賞:中園ミホ『花子とアン』