昨年4月にKARAを脱退し、同年8月から女優としての活動拠点を日本に移した知英(ジヨン・21)が、人気脚本家・北川悦吏子氏が書き下ろしたショートムービー『そちらの空は、どんな空ですか?』で映画初主演を飾る。女優デビュー1年を経て、難役をこなし続ける知英はどのような試練と向き合い、どのような努力を積み重ねてきたのか。

今月7日に都内で行われたプロジェクト発表会「ミュージック&シネマブレイク in ネスレシアター」の終了後、知英を直撃! 発表会では、主題歌を歌ったレミオロメンのボーカル・藤巻亮太の生歌に涙した知英だったが話はそこからはじまり、厳しい状況の中であらためて実感した日本の魅力、新ニックネーム"知英ぴょん"に込めた思いなど、どんな質問にも明るい笑顔で答えてくれた。

女優の知英

――初主演映画の発表会、お疲れ様でした。泣きましたね(笑)。

はい(笑)。藤巻(亮太)さんのライブはいちばんうれしかったです。本当に感動しました。まさか涙が出てくるとは思わなかったです! 聴いていたら歌詞も心に響きましたし、途中から涙が出てきそうになって「どうしよう……」って(笑)。私にとっての音楽は"言葉にできない"もので、欠かせない存在です。寝る直前までずっと何かを聴いています。今回は自分の初主演映画の主題歌が藤巻さん……本当に信じられない(笑)!

――映画の主演はもっと先のことだと思っていたそうですね。

そうですね、こんなに早くお話をいただけるとは思っていませんでした。しかも、北川悦吏子さんの脚本。北川さんの作品は前から大好きで。その脚本で主演をさせていただくなんて……本当に幸せです(笑)!

――今夏に放送されたドラマ『民王』では、父親と心が入れ替わるという難しい役を演じました。常に高いハードルが目の前にある印象なのですが、追い込まれた方が力を出せるタイプですか。

口では「難しい」と言いながら、自分では楽しんでいるんだと思います。そして、それが終わった時は「また次もがんばろう!」という気持ちに。難しいと感じることでも楽しみながら進むことで、さらに難しいハードルを前にしても「がんばろう!」という気持ちになれると思っています。

ショートムービー『そちらの空は、どんな空ですか?』より

――日本で女優デビューしてから、10月で1年になりました。振り返ってみていかがですか。

本当に幸せです。いただいた役が、全部みなさんに注目していただけるような作品で、ラッキーだったと思います。もちろん自分の足りないところもありましたが、ファンのみなさんやスタッフの方々に「日本語うまくなったね」と言っていただけようになったのは、私にとっては本当にうれしいことです。

――活動拠点を日本に移すことに対して、きっと不安もあったでしょうね。

最初は意外と「大丈夫」という気持ちでした。でも、やってみたらそんなに甘いものじゃないんだということがよく分かりました。1カ月ぐらい経った時にはホームシックになって、家族に会いたくなっていましたし、日本語も難しくて本当に大変だったんですけど、その経験があったからこそ今の私があると思っています。

――KARAを脱退したのが昨年4月。そこから日本デビューの8月までの間にイギリスに留学されました。知英さんにとっては区切りのような位置付けだったのでしょうか。

自分の体の中に充電器があるとしたら、コードをコンセントにつないだような期間でした(笑)。約4カ月という短い期間でしたが、マネージャー、家族、友だち……私の周りに誰もいない初めての生活でした。知らない土地での自分だけの生活は、今のような1人で活動する上でとても勉強になることだったと思います。

10月7日の発表会では主題歌を歌った藤巻亮太の歌声に涙

――流暢な日本語の陰には努力があると思いますが、"知英流"の日本語セリフ記憶術を教えてください。

イントネーションや発音をしっかり練習しなければならないので、現場では本番直前までスタッフさんにアドバイスしてもらったりしています。それを繰り返すことで自然と覚えるのも早くなりましたが、最初は知らない言葉ばかりで全然覚えられませんでした。理解しようと思って一生懸命やっているんですけど、やっぱり限界もあって。そんな時でも私が出させていただいた作品の役者さんは優しい方ばかりで。悩みがあっても、みなさんに助けていただきました。

そんな中で好きになった日本の言葉が「初心忘れるべからず」と「人生、山あり谷あり」の2つです。韓国語にもそんな言葉があって、日本語に言い直したらどんな言葉になるんだろうと思って聞いたら教えてくれました。