15年目のほぼ日手帳、なぜ愛された?

――ほぼ日手帳を15年間続けてきて、ここまで愛され続けた理由はなんだと思いますか?

使ってくれる人を楽にさせていたからではないでしょうか。つまり、ほぼ日手帳は「こう使わなければだめ」と言わないんです。手帳の使い方に対して、「もっとこうするといいぞ」とあれこれ言われていた時期があるのですが、その時に僕らは、自由に使えばいいと考えていました。その"自由に使う"という雰囲気を皆が喜んでくれたんじゃないかなあ。

――「ほぼ日手帳2016」では、ジッパータイプやポーチ形、クラッチバックの形などが印象的でした

もともと、"ほぼ日手帳を持っていたら、そのままランチを食べに行ける"と考えていたんです。「ほぼ日手帳」のカバーには収納力があるようにつくられてきたので、ポーチ形が増える可能性は発売当時からありました。「手帳さえあればとりあえずランチでの軽い打ち合わせができる」といったところから始まっているので。

B印YOSHIDA×PORTERコラボレーションの「WEEKSサンドウィッチ」、「PCケースSatellit

――それって、例えば糸井さんが忘れっぽい性格だったとか……?

僕は、持ち物が多いんですよ。どこかへ出掛けるとしても、あれもこれもと持って行きたがるタイプなんです。手帳の中にカードや小銭があれば、そのまま打ち合わせに行けるな、と思ったことがスタートなので、僕の性格にも関わっているかもしれないですね。

――そのアイデアのきっかけとなったことはあるのでしょうか

百貨店に勤めている人がランチに行く時に、透明のバッグに必要なものを入れて持ち歩いているのを知ってますか? あの透明のバッグに入っている中身が、最低限の物なのではないかと感じていたんです。僕は百貨店の広告をやっていたので、百貨店の人達があれを持って動いているのを見ているわけです。それを、もっと普遍化したらいいのではないかと思いました。2016年版では、「ANREALAGE×PORTER」のような大きいポーチ形の手帳も出てきましたね(笑)。初めて見たときは僕も驚いたんですよ!

「ANREALAGE×PORTER」サークルケース(オリーブ)

――そうだったんですね……!

新しいカバーを作る際には、よく「『手帳』と考えないでほしい」と言っているんです。せっかく皆が楽しく使っているので、「手帳」「文房具」という言葉に囚われないで、思い出の乗る入れ物、あるいは後で自分の勉強を教えてくれる先生みたいに思ってくれたらいいな、と。そう言っていたら、「ANREALAGE×PORTER」のデザイナーの方が『そうですよね~』と、半円のデザインを出してきました(笑)。いや~良い刺激になりましたね。