今日、訪日外国人の増加が要因としてホテル稼働率は上昇、特に都市部や人気観光地では客室料金が高騰している。そこで、少しでも安くお得にホテルを利用するために、格安ホテルの選び方や安く泊まる方法を考えてみよう。
ホテル予約サイトにも特徴あり
まず、ホテルへ直接予約するよりも総合ホテル予約サイトを利用した方が、格安にかつ手軽に予約できるというはよく知られている方法だ。予約サイトを運営する会社は、実際の店舗で販売をするリアルエージェントに対しOTA(オンライン トラベル エージェント)と呼ばれている。
OTAも旅行会社であり、ホテルから客室を卸してもらっている。ホテル側からすると、OTAへは一般的に通常よりも安く提供することになるが、宣伝力も営業力も限られるホテル側としては、手間や経費を勘案し周知性の高いOTAへ卸すメリットは大きい。
OTAも様々で、有名サイトもあればマイナーサイトもある。最近は特定のカテゴリーに特化したサイトも多い。利用者の口コミをチェックできたり、宿泊実績に応じてポイントが貯まるのもこうした予約サイトの魅力だ。以下、主な国内ホテル予約サイトの特徴をまとめてみた。
楽天トラベル
提携ホテル数の多さが特徴。国内旅行取扱額はトップクラス。ホテル利用者からの口コミ評価の多さも人気。
じゃらん
楽天トラベルと並ぶ人気のサイト。1泊2食付きの温泉旅館などにも強い。ホテル検索の条件(こだわり)設定の詳細さも人気。
一休.com
高級ホテル、高級旅館に特化した予約サイト。高級ホテルがお得に利用できる一休限定のプランなども人気。
ホテル公式サイトが最安!?
「OTAの方がホテルよりも格安」と言ったものの、最近はそうではないケースも増えている。人気のOTAだが、成約すれば当然ホテルは手数料を支払う。会社によって異なるが、平均して約10%の成約手数料を支払っている。各社しのぎを削るホテル業界において、この手数料負担が重荷になっているとも言われ、よって、ホテル自社サイトでOTAよりも安く販売するホテルも登場しているのだ。
「最安値宣言」「ベストレート保証」と検索してみれば、多くのホテルがヒットするだろう。筆者はホテル予約の際に、まず施設数の多い楽天トラベルで空室と料金を確認、じゃらんや一休で比較し、最後にホテル公式サイトをチェックするというスタイルをとることが多い。また、OTA間で料金差があるケースは多く、「トラベルコちゃん」のようなOTA比較サイトも参考になる。
売れ残りを狙え!
そして、ホテルの客室は"生もの"ということにも着目したい。その日に売り切らなければ商品ではないただの部屋。スーパーのお総菜や生鮮食料品が、閉店時間が近づくにつれ値下げされていくのはよく見る光景だが、実はホテルの客室も同様だ。売れ残りのないよう安くしても売りたいのはホテルの本音。もちろん、ホテルのイメージもあるので通常は多少の値下げだが、それでも極端なディスカウントも時々目にする。
稼働率に余裕があるシーズンに、当日限定プランや20時以降チェックインプランなど、宿泊日の直前に予約サイトを見てみると意外な掘り出し物が見つかるかもしれない。また、稼働が高く当日の午前中まで満室でも、午後や夜になるとキャンセルなどで空室が出ることもあるので要チェック。ただし、稼働率が高いシーズンはディスカウントされる可能性は低い。
ホテル宿泊は日・月曜日に
旅のスケジュールで日程が自由にならない、ということはあるだろうが、多少自由になるのであればホテル宿泊は日曜日と月曜日がオススメだ。土曜日は予約が殺到しても、日曜日は空いているのがホテルの常識。また、週初めの月曜日は出張族の動きも鈍いので競争率は低くなる。いずれも稼働率が低ければ当然料金も下がる。また、都市部のホテルよりも郊外や地方のホテル、さらにリゾートホテルはその傾向が顕著だ。
多くのホテルで料金は変動制。日々リアルタイムで料金は変わる。飛行機などの交通機関は早い予約がお得というのは旅行では常識だろうが、ホテルに関しては意外に直前予約がお得というケースもある。予約方法が多様化する中、それぞれの特徴を見極めて旅にスタイルに合ったお得な予約方法をぜひ見つけていただきたい。
筆者プロフィール: 瀧澤 信秋(たきざわ のぶあき)
ホテル評論家、旅行作家。オールアバウト公式ホテルガイド、ホテル情報専門メディアホテラーズ編集長、日本旅行作家協会正会員。ホテル評論家として宿泊者・利用者の立場から徹底した現場取材によりホテルや旅館を評論し、ホテルや旅に関するエッセイなども多数発表。テレビやラジオへの出演や雑誌などへの寄稿・連載など多数手がけている。2014年は365日365泊、全て異なるホテルを利用するという企画も実践。著書に『365日365ホテル 上』(マガジンハウス)、『ホテルに騙されるな! プロが教える絶対失敗しない選び方』(光文社新書)などがある。
「ホテル評論家 瀧澤信秋 オフィシャルサイト」