「レイコップ」という、ふとん専用のクリーナーを知っているだろうか。10年以上前、一人の内科医によって誕生し、現在では日本で累計売上300万台のヒット商品となっている。 その開発者こそ、今のレイコップ・ジャパン代表取締役社長 リ・ソンジン氏である。同社は、2012年にふとんクリーナー専門メーカーとして設立され、これまでに世界24カ国で販売実績がある。もともと医師だったリ・ソンジン氏は、なぜふとんクリーナー開発への道を進んだのか。そこで今回は、その経緯や商品開発の裏側を伺った。

代表取締役社長 リ・ソンジン氏

ふとんクリーナー誕生は、「医師」経験からの発想

――ふとんクリーナーを開発しようと思い立ったのはいつ頃だったのですか?

2005年です。私は内科医師として大学病院で働いていました。

――「ふとんクリーナー」の開発に至った背景を教えてください

当時は、色々な環境の変化に伴って人々の生活環境も変わったため、アレルギーの患者が増えていた頃でした。私はその時期から、医師の役割として病気を『治す』だけでなく、『予防』し、健康な生活をサポートすることが重要だと考えていたのです。ふとんのダニ、ダニの糞、たんぱく質などを含むハウスダストは様々なアレルギー症状の原因となりますが、当時のマーケットには、ふとんからハウスダストを取り除く商品はありませんでした。開発して顧客に提供することで、病気に対しての予防ができるのではないかと思いました。

――『予防』するというのは?

人生を送るにあたっては、命の長さだけではなく、質も大事だと考えています。活力のある生活を送るためには、アンチエイジングが必要です。一般にアンチエイジングと言うと、美容のことだと捉えられがちですが、本当は病気を予防して、「いつまでも若々しく健康に生きる」ことを指します。

その方法には、食事や、運動療法、睡眠、抗酸化療法、ホルモン治療などがありますが、睡眠も非常に大切です。そして、きちんと熟睡するためには、アレルギー予防も含んだふとんのケアが必要です。ふとんクリーナーは、患者や人々の健康や快適な睡眠環境に役立ち、社会貢献になると思いました。

――ふとんクリーナーのような商品があれば、と思っても開発まで進めるのは思い切りが必要ですよね

一人の医師として診察できる患者の数はとても少ないと感じていました。しかし、製品を開発して提供すれば、より多くの人に貢献できると考えたのです。