(C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 (C)諫山創/講談社

――桜庭さんのこれまでの役はどちらかというと大人しくて、動きの少ない役が多かったように思います。今回はアクションですが、その点はいかがでしたか。

アクション自体やったことがなかったので、最初は本当に不安でした。でも、体を動かすことは好きなので、実際にワイヤーで飛ぶシーンは楽しかったです。でも、ワイヤーの練習した後や本番後は本当に筋肉痛になりました。全身筋肉痛でトイレに行くのも大変で、回数を重ねても痛かったです。

――後編にも見せ場がありましたからね。あれは良いシーンだと思います。

本当ですか? ありがとうございます! …どのシーンですか?

――弓を打つシーンですよ(笑)。

あっ、あそこですね! ありがとうございます。

――ブログには8月11日にクランクアップしたことの報告とともに、「さびしい」という本音も書かれていました。

本当にみんな仲が良くてチームワークも良かったので、とにかく終わってしまうことがさびしかったです。みんなの迫力とか気の持ち方もすごかったですし、良い作品を作ろうという気持ちで撮影したので、最後アップしたときはうれしかったですけど、さびしさもありました。

――そのブログの最後には気分転換にネイルに行くことも書かれていましたね。

私、終わってから何してたんでしたっけ……。でも、毎日爪の中に砂が入っていました。汚れを表現するために、みんな「はったい粉」をかぶってから撮影に入るんです。これ(サシャのビジュアル写真)にもちょっとかかっていますよね。

――ご自身の食べているところを撮影した写真、それをまとめたファイルをスタッフさんに見せたと聞きましたが、どのような経緯で見せることになったのでしょうか。

本当に食べることが好きなので、今までの雑誌とか写真集とかで食べているところを撮ってもらうことがあったので、その写真を撮影がはじまる前にプロデューサーさんに見ていただきました。「こんなにおいしそうに食べることができる私なので、絶対にサシャをやりたい!」という気持ちを伝えるためでした。この思いが届いて本当にうれしかったです。

――周りの人からも、「おいしそうに食べる」とよく言われますか。

はい(笑)。あとは、すぐお腹が鳴るんですよ。……あっ。やっぱりそういうところも似てますね。

――ツイッターで知りましたが、数年間欠かさず日記を付けているそうですね。とてもマメな一面だと思います。

はい。10年日記があって、まだ3年目です。二十歳になった時から書き始めました。30歳になるまでにどんな変化が起こるんだろうと思って、毎日書いています。『進撃の巨人』の現場のことも書きました。内容は起こった出来事とか思ったこと、あとは天気とか。本当に一言なんです。クランクイン前日は「明日は撮影だ。緊張する」とか「みんなとうまくできるかなぁ」とか。そのあとは「みんなとご飯に行った」とか楽しく話したこととか。今日書いていることの上には1年前と2年前にかいてあることも見えるようになっているので、読み返そうとしなくても目に入るんです。毎日コツコツやることは苦手なんですけど、日記を書くことはとても楽しいです。

――誰にも見せていない?

見せられないです(笑)。

――以前お会いしたのが2年前。その時にはbump.yとしても活動されていましたが、去年の4月からは女優1本に絞っての活動になりました。何か変化はありましたか。

グループ活動やっていた時は、毎日レッスンがあったので撮影があった日や休みの日でも欠かさず通っていました。卒業してからはレッスンもないので、撮影がない日は休めるようになりました。そういう一人の時間がすごく増えました。最初はさびしかったんですけど、せっかく空いた時間なので有意義な時間にしたいなと思います。

でも、自分の時間ができたときに何をしていいのか分からなくて(笑)。はじめのころは本当に何をしていいのか分からなくて一人で行動することも多くて、ただただ携帯を触ったり。でも、そんな時間がもったいないので、ちょっと遠くまで散歩に行ってみたり、映画を観る時間に当てたり。メンバーのみんなとは今でも仲良くて、「実はあの時こう思っていた」とか思い出話がとても楽しいです(笑)。

――桜庭さんにとってメンバーはどのような存在ですか。

誰よりも一緒にいた時間が長いので、相談もしやすいです。自分のことを誰よりも分かってくれて、みんなのことも分かっているつもりです。いろんな作品を観る時間が増えたことで、その人の表現の仕方に目が行くようになったり、仕事面ではそういう変化がありました。私もそういう演技ができるように、最近では人間観察をしています。

――今回の現場でいえば、人気の若手からベテランの役者、そしてスタッフも精鋭ぞろいでした。その観察眼ではどのようなことが印象に残りましたか。

役者のみなさんだと、ご自身の役への愛が本当にすごかった。そこを見習わないといけないと思いましたし、真剣な取り組み方もとても参考になりました。スタッフさんを含め、そういうみんなの思いが重なり合って、『進撃の巨人』のスタジオは本当に輝いていました。

■プロフィール
桜庭ななみ
1992年10月17日生まれ。鹿児島県出身。身長162.5センチ。O型。2008年に映画『天国のバス』で銀幕デビュー。2009年にはNHKドラマ『ふたつのスピカ』で主演を務め、劇場アニメ『サマーウォーズ』では初めて声優に挑戦した。その後、2010年の『最後の忠臣蔵』で第35回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、映画新人賞を総なめ。2016年春公開の日韓合作映画『絶壁の上のトランペット』でヒロインを演じる。