俳優の三上博史が、26日に放送されたTBS系トーク番組『オトナの!』(毎週水曜25:51~)にゲスト出演し、自身の引退秘話を語った。

俳優の三上博史

9月5日から東京・渋谷のパルコ劇場で上演される舞台『タンゴ・冬の終わりに』で主演を務める三上。この日は、演出を手がけた行定勲氏とゲスト出演し、同番組MCで同作で共演するユースケ・サンタマリアらとさまざまな話題で盛り上がった。

同作は清水邦夫書き下ろし、蜷川幸雄演出によりパルコ劇場で1984年に初演された作品。観劇した当時、平幹二朗が演じている姿に感動した三上は「この役、絶対にやりたい!」と刺激を受けたという。過去の名作への挑戦には当然相当な覚悟も伴うが、その熱い思いが約30年を経て周囲を動かした。

三上は「くさい話になりますが」と切り出し、「30代で役者を辞めようと思っていた」と告白した。寺山修司氏から「お前は演劇に向いていないから出るな。映像だけ出ていればいい」というアドバイスを受けて俳優業と向き合ってきた中、徐々に「演じられる場所が無くなってくる」と実感したという。三上はその当時の思いを「マイクをそっと置いていくように潔く消えようと思って」と笑顔で振り返る。

寺山氏の没後20年となる2003年、代表作の1つでもある舞台『青ひげ公の城』の再演が決まる。周囲の勧めもあって「これを最後に」と心に決めて舞台に臨んだところ、「ここにも演じられる場所があるんだ」「やっぱり好きなんだ」と役者としての生きがいを感じた。その舞台が上演された場所がパルコ劇場だった。

「パルコに救ってもらったんですよね」と語る三上。「パルコで何かをやろう」という話が浮上し、「30年前のあの"思い"をやりたい」という三上の熱意が、舞台『タンゴ・冬の終わりに』の再演が実現するきっかけだった。