女子大生インタビュアーの平井絵未理です

はじめまして。学習院大学3年生の平井絵未理(ひらいえみり)です。

ひょんなことから、マイナビニュースで人生の先輩方にお話をうかがえることになりました。

普段は会えないような方々とお会いできるということで、読者の皆さまにその方の人柄や温度感なんかをしっかりとお伝えしなければ、という緊張感もありつつ、女子大生インタビュアーならではのお話も聞けたらな、なんて思っています。

今回お話をうかがったのは日本を代表する歌人のひとり、穂村弘(ほむらひろし)さん。短歌のほかエッセイなどで知られる文筆家でもあります。6月11日にはクリエティブユニット・パンタグラフとの共著『パラレルワールド御土産帳』(パイインターナショナル / 税別1,800円)を上梓されました。パンタグラフが作り上げた不思議な道具を穂村弘さんが紹介する、現実と空想のはざまを漂うような本です。

穂村弘(ほむらひろし)
1962年5月21日生まれ。歌人。1990年、第1歌集『シンジケート』を刊行。2008年、『短歌の友人』で第19回伊藤整文学賞、『楽しい一日』で第44回短歌研究賞を受賞。エッセイストとしても知られ、『世界音痴』(小学館 / 2002年)や『本当はちがうんだ日記』(集英社 / 2005年)などのエッセイ集も刊行。近刊に『ぼくの短歌ノート』(講談社)がある

「女もかっこいい男を見て振り向くんだ! 」

『パラレルワールド御土産帳』(穂村弘、パンタグラフ 著 / パイインターナショナル / 税別1,800円)

――不思議で、すごく心引かれる本でした。道具に説明をつけていく中で、「これが一番いいなぁ」と思ったものはありますか?

僕ね、最初に見た時からこれが好きで。「逆シュレッダー」(※シュレッダーをかけたバラバラの書類を復元する道具)。

――あ! それ私もすごく好きです!

うん。これは時間が逆転するみたいな感じで、おもしろいですよね。

――私、この「バレンタインEnter」(※大きなエンターキー型のチョコレート)もすごく好きです。

かわいいですよね。やっぱりキーボードって、デジタルな物の中では身近ですからね。USBネタとかキーボードネタとか、多いですよ。

「逆シュレッダー」

「バレンタインEnter」

――バレンタインにからめて、ちょっと強引にうかがいます。穂村さん、モテますか?

モテないですねぇ。モテたいですけどねぇ。

――女性ファンが多いイメージなので、意外です。

好きな男性と話している女性の目ってすごくキラキラしていて、その人のことが大好きだって、見てわかりますよね。僕、キラキラした目で見られた記憶がないんです。

かっこいい友達の横を歩いている時に、すれ違う女性がこちらに振り向くのを見て「女もかっこいい男を見て振り向くんだ! 」ってすごくびっくりしたんですよ。僕は50年以上生きててそんなこと一度もないのに。物理的には同じ道を歩いていても、もはやその友達と自分の生きている世界は違うんだなぁと思いました。

"抽象度"の高い人が好き

――好きな女性のタイプをお聞きしてもいいですか?

「神秘的だ」と思うとすぐに好きになってしまいますね。「神秘的」といっても単純な話で、「真夏なのに長袖を着ている」とかそれくらいのことなんですけど。何か特殊なものがあると、それがある種のサインのように思えて、僕の妄想ボタンが押されるというか。

1人だけ違う時間の流れの中にいるように見えたり、みんなが目先のことを考えている中で、何か遠いことを考えているような目をしていたり。そういう人はすごく魅力的に思います。

それから、抽象度の高い人が好きですね。バックボーンが見えなくて、「どうやって今日まで生きてきたんだ」みたいな人。その人の世界に関わってみたい、と思うんです。逆に、朝起きてから今まで何をしていたか、見た瞬間にわかるような人には興味を引かれないですね。

――なるほど。私は穂村さんとお話していて、おっとりとしたゆるい雰囲気をお持ちだなと感じました。すごく柔らかい話し方ですよね。

僕、その逆というか、いら立った感じで話す男性が怖いんです。飲食店で彼氏が彼女に「おい、行くぞ! 」とか言っているのを見ると、「あ、別れた方がいいよ」と思います。「この人は一生こうだよ」と。

――私もそういう人、苦手です。

でしょ。でもそういう人の彼女って、あんまり気にしないみたいなんですよね。だけど僕だったら耐えられない。逆に、優しく話す男性がいたらついて行きたくなっちゃう(笑)

――よくわかります。近くにいるカップルの様子って、やっぱり気になりますよね。

気になりますね。敬語で話しているカップルとか、すごく気になる。まだカップルにはなりきっていない、みたいな関係なんでしょうね。

カップルって本当にケース・バイ・ケースで、毎日ケンカしていても別れないカップルもいれば、一度もケンカしていないのに別れてしまうカップルもいますよね。僕は後者になりがちでした。ケンカしたわけではないのに、煮詰まって別れてしまった、とか。