貯蓄の目標のひとつに、100万円貯める、ということがあります。100万円あれば、予想外の出来事があった時に、対応することが可能ですし、100万円あれば、有利な運用ができるマネー商品も増え、選択の幅が広がります。とはいえ、現状、銀行の定期預金では大きく増やすことができません。今、安全性が高く、一番有利な運用法は何か考えてみましょう。

定期預金の中でも高金利なものがある?

都市銀行で定期預金に預けても1年で金利は0.025%。100万円預けても1年後の利息は250円(税引前)。これでは預け替える意欲もなくなります。しかし、銀行の中には、その10倍以上の金利をつけている銀行もあります。

少々手間はかかりますが、いわゆるネット銀行や地方銀行のネット支店の定期預金なら、常に都市銀行よりも高い金利を設定しています。一例を以下にあげておきましょう。

【ネット銀行】

  • あおぞら銀行(インターネット支店)

1年金利:0.26% 預入金額:50万円以上

  • 楽天銀行

1年金利:0.25% 預入金額:1000円以上

(※7月31日までのキャンペーン)

  • イオン銀行(ネットバンキング限定)

1年金利:0.20% 預入金額:10万円以上

(※8月31日までのキャンペーン。10万円を1口として1等現金10万円(20名)が当たる特典付き)

このほか、住信SBIネット銀行やオリックス銀行でも高金利のキャンペーンを実施していましたが、6月30日で終了しています。ネット銀行はボーナス時期などにキャンペーンを実施することが多くタイミングが合わないと、通常金利になります。それでも一般的な都市銀行よりも常に高めの金利です。

【地銀のネット支店】

  • 香川銀行 セルフうどん支店

1年金利:0.40% 預入金額:1万円以上100万円まで

  • トマト銀行 ももたろう支店

1年金利:0.40% 預入金額:1万円以上100万円まで

  • 愛媛銀行 四国四十八カ所支店

1年金利:0.40% 預入金額:100万円限定

  • 荘内銀行 わたしの支店

1年金利:0.40% 預入金額:100万円以上

地銀のインターネット支店は、増加しており、地元の銀行にないか、まずはチェックしてみましょう。募集期間があるものや募集上限額が決まっているものがありますが、常にネット銀行よりも高めの金利を提示しています。小口で利用するというよりも100万円をまとめて預けるのに向いています。

ネット銀行も地銀のインターネット支店も、口座開設をする際に、入出金に使えるATMが身近にあるか、という点に注意が必要です。ゆうちょ銀行のATMやコンビニのATMと提携していることが多いので、口座開設の前にチェックしておきましょう。また、ネット環境がないと資金の移動ができないので(スマホ対応は一部の銀行で行っています)、その点にも注意が必要です。

1%超えの社債は早い者勝ち

社債とは、企業が設備投資や事業拡大の資金調達のために債券を発行し、投資家に証券会社などを通じて販売するものです。投資家には債券の償還期限まで既定の利息を支払い、償還が来たら額面金額を払い戻すという仕組みです。一般の投資家向けには小口にしており、比較的少額でも購入できるようになっており、個人向け社債とも呼ばれます。

最近は、目立って利回りのいい社債は少なくなりましたが、中には1%超の社債もあります。こうした情報は、なかなか日常的には目にしにくいので、証券会社のWEBサイトなどをチェックしなければなりません。たとえば、久しぶりにSBIホールディングスが発行した「SBI債」は、償還期限1年で、金利1.43%。社債額面が10万円と個人投資家に人気の債券ですが、発売と同時に売り切れ(申し込み後に抽選)。情報を知ったときに口座開設をしていては間に合いません。次回の予定は決まっていませんが、いざその時に備えて事前に口座開設をしておきたいものです。

他に、最近発行された債券は以下のようなものがあります(募集期限は過ぎていますが、定期的に発行する可能性があります)。いずれの債券も企業が元本を保障していますが、万一、発行企業が経営破たんをしたときには、全額戻ってくる保障はありません。そのため実際に購入する際は、債券の格付け(AAAなどの表記。以下、B、Cと格付けは低くなる)を見て、債券の信用度をチェックするようにしましょう。

  • 東海東京フィナンシャル・ホールディングス

償還期限:1年

利率:0.41%

購入単位:100万円以上10万円単位

募集期間:2015年6月1日~2015年6月24日

格付け:BBB+

  • ソフトバンク(愛称:福岡ソフトバンクホークスボンド)

償還期限:5年

利率:1.36%

購入単位:100万円単位

募集期間:2015年6月4日~2015年6月17日

格付け:A-

貯蓄性がある保険の中に、プチお宝も

最近、相続対策などで再び注目を浴びている一時払いの終身保険ですが、残念ながら最低払い込み金額は200万円、300万円という保険会社が多く、100万円で加入できる商品はないのが現状です。しかし、JA共済が取り扱っている「一時払い養老生命共済」は最低50万円から1万円単位で加入することができます。

基本的な仕組みは生命保険などの養老保険と同じで、満期が決まっており、満期時には満期金が、万一の時には死亡保険金が受け取れるというもの。現在は毎月払いだと元本割れしてしまうため、貯蓄商品としての魅力はなくなっています。このJAの一時払い養老生命共済は一時払いに限り、有利な商品といえます。また、満期も5年と10年から選べるので、万一のときの保障というよりも、いつか使う100万円の運用先としても利用しやすいでしょう。契約年齢も6歳から80歳まで加入可能で、年齢による掛け金の差や性別差もありません。

たとえば、現在30歳で、共済期間10年。一時払い共済掛け金が100万円の場合、10年後に戻ってくる共済金は、107万654円(予定利率1.0%の場合)。満期時の利回りは0.70%になります。

病気による死亡共済金も3年目からは100万円以上に増える仕組みです。災害による死亡共済金は病気死亡の時の1.1倍の金額となります。さらに共済であるため満期時には満期共済金のほか、収支状況によって割り戻し金があるため、実際の利回りはさらによくなる可能性もあります。

JA共済に加入する際は、組合に加入するため出資金(各JAによって異なる)の支払いが必要になります。

100万円を普通預金口座に眠らせておいても、利息はほとんどつかない今、どこも同じとあきらめずに、運用して少しでも多く増やせることを知っておきましょう。

<著者プロフィール>

伊藤加奈子

マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。