三重県鳥羽市・鳥羽水族館はこのほど、公式Webページにて、同館の水槽で発見された珍しいクラゲを紹介した。

一見イソギンチャクのようにも見える「リプケア」 ※画像提供:鳥羽水族館

北太平洋で2例目の発見例

同個体は、同館「へんな生きもの研究所」の水槽にて見つかった、世界的に見ても発見例が極端に少ない非常に珍しいクラゲ。現在「へんな生きもの研究所」で2個体を飼育展示中となる。

5月2日、担当者が水槽内の岩の内側に見慣れない生きものが付着していることに気付いた。それは幅10~15mmほどのアサガオの花のような姿をしており、刺激を受けると軟体部を巾着袋のように閉じる不思議なものだった。

左・傘を開いている「リプケア」と、右・軟体部を閉じようとしている「リプケア」 ※画像提供:鳥羽水族館

その後、千葉大学の平野弥生博士に詳細を確認したところ、「十文字(ジュウモンジ)クラゲ」類の一種で、「超」が付くほどの珍種クラゲ「リプケア(Lipkea sp.)」だということが判明。今回は、3年前の千葉県の博物館の水槽内での発見例に続く、北太平洋で2例目の発見記録となる。

「リプケア」は他の十文字クラゲ類とは大きく異なる形態をしているため、十文字クラゲ類の系統を研究するにあたり非常に重要なグループであると考えられている。しかしながら、これまでに論文にして種名を確定されているのは地中海の2種、南アフリカの1種の計3種だけで、その生態の多くは謎に包まれているという。

同館では、今回発見された「リプケア」が、このクラゲの興味深い生活史を解明する手がかりのひとつとなるよう、まずは「へんな生きもの研究所」ゾーンでさらなる長期飼育を目指していく、としている。