男性の中には、彼女や女友達の言動が理解できず、「女って面倒」て感じている人がいます。突然泣いたり怒ったり、細かいことを覚えていてネチネチ追求してきたり、「仕事と私、どっちが大事? 」って聞いてきたり、答えは決めているのに相談してきたり。男性からすると、謎すぎて面倒と感じてしまうようです。一体なぜ男性は、女性の言動が理解できず、面倒だと感じてしまうのでしょうか。

ジェンダーによる性差

確かに、男性の中にはどんなに好きな女性でも、その人を面倒だと感じる瞬間があるかもしれません。ですが、きっとそれは女性も同じですよね。同じ人間とはいえ、男女という性差からお互いが理解できないことは多々あると思います。

例えば、突然泣いたり怒ったりということも性差によるものでしょう。ですが、それは生まれながらにしてというよりは、ジェンダーによる性差かもしれません。というのも、男性の場合は「男の子なんだから、簡単には泣かないの」という風に育てられます。感情的になることは男性ではないと育てられるわけです。それに対して女性の場合は、なにかがトリガーとなって泣いたりする情動的な行動が感情豊かとして許容されがちです。

また、細かいことを覚えているというのは、アメリカのコーネル大学の研究によって証明されています。これは、男女におけるコミュニケーションの違いが影響しているでしょう。

人がまだ狩猟の生活を送っていた頃、男性は狩りに出掛けますが、女性は家や村で残っている他の女性と1日の大半を過ごします。つまり、男性は1人で過ごす時間が長く、女性は大勢の人と過ごす時間のほうが長いわけです。共同で生活をするということは、誰かとケンカをすることを避けなければいけません。勘違いから言った言わない、したしてないという争いに発展することはよくあります。つまり、お互いにしっかり記憶をしていれば、不要な争いをする必要がなくなるわけです。

「仕事と私、どっちが大事? 」とたずねるのは、当然ながら「私」といって欲しいからです。男性からすれば、仕事と私は比較対象じゃないと思うでしょう。ですが、女性にとって恋人や結婚相手は、自分を守ってくれる相手。もし、妊娠・出産することになれば、男性に自分と自分の子どもを守ってもらわなければなりません。比較対象が仕事かどうかは別として、自分を二の次にするような男性は嫌なのです。

つまり、根本的に脳科学や進化心理学的な違い、またジェンダーといった社会や生まれてからの生育環境による違いが複雑に混ざり合って、男性が女性を理解できなくさせ、面倒だと感じさせているのです。

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著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理に詳しい。
現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は「化粧にみる日本文化」「黒髪と美女の日本史」(共に水曜社)など。