人気アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』が実写ドラマ化され、年内にフジテレビ系のゴールデン枠で放送されることが16日、分かった。俳優・村上淳と歌手・UAの長男・村上虹郎が、地上波ドラマ初出演でテレビドラマ初主演を果たす。

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』実写ドラマ(左)と、原作アニメ

同作は、フジテレビ系でオリジナルアニメとして、2011年に深夜枠で放送。"大人も泣けるアニメ"として『あの花』の愛称で人気が火が付き、舞台となった埼玉・秩父市には「聖地巡礼」としてファンが集まったり、街ぐるみのイベントも開催されたりと、社会現象にもなった作品だ。

これを今回、満を持して実写化。「超平和バスターズ」と名乗っていた幼なじみ6人の仲良しグループが、高校生になって再び集まって繰り広げられていく、喪失と再生の物語を描く。すでに撮影は始まっており、全編を通じてほぼ秩父でのロケを敢行。秩父市の観光課を含め、街全体のバックアップを受けて順調に進んでいるという。

村上が演じるのは、主人公「じんたん」こと宿海仁太。昔はみんなのリーダーだったが、現在は引きこもり中という役柄だ。村上は、自分のプロフィール写真と、アニメのじんたんの写真を見比べ「『引きこもっているんだろうな』というオーラが出ている僕の写真が、じんたんとピッタリだったので、良かったなと思いました(笑)」と自虐的に語る。また、今作に出演することを伝えた人たちから「じんたんをやるんでしょ?」と先読みされたという、はまり役となることを予感させるエピソードも明かした。

村上は、原作アニメについて「すごくスムーズに見られました」と、その面白さを実感。それだけに「アニメを100%表現するのは難しい」としながら「ファンの方もアニメを知らない方も、気持ちよく見られる作品にしたいな、と思いますのでご期待ください」とアピールしている。

じんたん役の村上虹郎

めんま役の浜辺美波

そして、じんたんが自宅でゲームに夢中になっているとき、幽霊となって現れるヒロイン「めんま」こと本間芽衣子を演じるのは、浜辺美波。事故死してしまった「超平和バスターズ」のメンバーだったが、生きている時にやり残した願いをかなえるため、幽霊になって戻ってきたという役柄だ。

地上波ドラマ初ヒロインの浜辺は「自分なりに"めんま"を消化して、少しでもイメージに似た"めんま"を演じられれば」と抱負。幽霊という役のため、撮影には、はだしで臨み「なるべく軽やかに見えるように歩いたり走ったりしています」と工夫を凝らしているという。

このほか、秀才タイプで地元の進学校に通う「ゆきあつ」こと松雪集を、フジ系ドラマ初出演の志尊淳。引っ込み思案だったが高校デビューしてすっかりギャルになった「あなる」こと安城鳴子を、地上波単発ドラマ初出演の松井愛莉。しっかり者でみんなのまとめ役の「つるこ」こと鶴見知利子を、モデルとしても活躍する飯豊まりえ。そして、高校に行かず世界中を旅行している「ぽっぽ」こと久川鉄道を、フジ系ドラマ初出演で、女優・高畑淳子を母に持つ高畑裕太が演じる。

ゆきあつ役の志尊淳

あなる役の松井愛莉

編成企画の狩野雄太氏は、この配役を決めるのに「何回もオーディションをし、プロデューサー、監督とも綿密に相談をして決めました」と明かす。その上で「今後のテレビドラマ界をにぎやかにしてくれるに違いない方々ばかりですし、実際にドラマを見ていただけたら原作ファンの方にもご納得いただけるキャスト陣になっていると思います」と強い自信を示している。

以前、明石家さんまが『FNS27時間テレビ』のコーナーで、好きな女性に「つるこ」を挙げたこともあるなど、思い入れの強いファンを多く抱える作品で、狩野氏は実写化に「非常に勇気がいる」とも。それでも「演出の西浦(正記)をはじめ、制作陣が本当に、みずみずしい画を撮っていますので、魅力的なドラマをお送りできるかと思います」と語った。

一方、アニメで原作脚本を務めた岡田麿里は「実写作品的な内容を、アニメでしかできない表現で描いてみたい…と考えて生まれたのが『あの花』でした」というエピソードを明かし、「それが、まさかのドラマ化。感動&動揺しつつも、スタッフの皆さまの手による、ドラマでしかできない表現で描かれた、新しい『あの花』を楽しみにしています!」と期待を寄せている。

つるこ役の飯豊まりえ

ぽっぽ役の高畑裕太