ライオンリビングケア研究所はこのほど、「トイレの拭き掃除」についての検証結果を発表した。

しっかり拭きは「雑巾」、サッとひと拭きは「トイレットペーパー」

同調査では、「雑巾による拭き掃除」と「トイレットペーパーによる拭き掃除」について、使う道具や拭き方の実態と洗浄効果について検証した。

まず、トイレの拭き掃除を、便器や便座、その他便器まわりの様々な部分を一度にまとめて拭く「しっかり拭き」と、トイレを使用するついでや汚れが気になったときに気になった場所をちょっと拭く「サッとひと拭き」に分類。それぞれの拭き掃除で何を使っているかを調べた。

結果、「しっかり拭き」では4割が「雑巾」を、「サッとひと拭き」は多くが「トイレットペーパー」を使用していることがわかった。さらに、トイレットペーパーはどちらの拭き掃除でも頻繁に使用されていた。

サッとひと拭きでは、トイレットペーパーが多用される

雑巾は、きちんと洗っていても菌が潜んでいた

これをうけ、実際にトイレ掃除で使用されている雑巾を4家庭から回収。雑巾に付着している菌の数を測定した。その結果、雑巾の洗い方や使用期間、見た目の汚れ具合に"関わらず"、いずれの雑巾からも数千万個/枚を上回る菌が検出され、多いものでは5億個/枚もの菌がついていることが確認された。

きれいに洗ったつもりでも、雑巾には菌が残存

石鹸を使用して雑巾を洗い、きちんと外に干している雑巾からも多くの菌が検出されたことから、繰り返し使用する雑巾の清潔を保つには、漂白剤などで定期的に除菌をする必要があることがうかがえた。

雑巾を使用した拭き掃除では、かえって菌を塗り広げていた

家庭でトイレの拭き掃除に実際に使用した雑巾を用いて、全く菌のいない試験片(ポリプロピレンの板、以下 PP板)を軽く拭いて表面の菌数を確認した。すると、もともとは菌がいなかった試験片の表面から、多数の菌が検出された。濡らした雑巾で拭き掃除を行っても、菌がついた雑巾の場合には、かえって菌を広げてしまうことがうかがえた。

トイレットペーパー拭きは、「から拭き」「水拭き」では汚れも菌も取れない

トイレの拭き掃除をするとき、多くの人が「トイレットペーパー」を使用しており、その方法は「から拭き」「水拭き」「洗剤拭き」の3つに大別されるという。その効果の違いを明らかにするために、ヒトの尿を試験片の表面上に垂らして乾燥させた「乾燥尿汚れ」を付着させ、布で拭きとった後の汚れ残りを確認した。

その結果、「から拭き」「水拭き」では汚れが残っており、拭き掃除によってむしろ汚れを広げてしまうことがわかった。対して、洗剤を使用した場合は汚れ残りがほとんど見られず、汚れを取り除けていた。

尿ハネ汚れを洗剤拭きすると、残存する菌は0になった

さらに、「菌」についても「から拭き」「水拭き」「洗剤拭き」によるふき取り効果を検証。「尿ハネ汚れ」「乾燥尿汚れ」を作成し、上記3つの方法でふき取って菌の除去効果を比較したところ、「洗剤拭き」では、「尿ハネ汚れ」は完全に、「乾燥尿汚れ」でもほとんど菌が検出されない程度に、菌が取り除けていることが確認された。

一方、「から拭き」「水拭き」では、ふき取りの後の表面に多くの菌が残っており、むしろ一カ所にあった菌を広げてしまうことが確認された。