――さて、今回の作品で舞台を「下八軒」にしたのは、監督がお茶屋遊びをしたのが「上七軒」だったからですか?

周防監督「いや、そういうわけではなくて、いろいろな街の名前があるんですけど、一番聞いた瞬間に笑えるじゃないですか。『祇園』を『きおん』とか『おんぎ』とかにしてもね (笑)。『下八軒』は、明らかに『上七軒』をもじったものだってわかるじゃないですか。『上七軒』は花街の中では一番歴史のある街ですが、撮影や取材にも理解がありました。街として盛り上げたい、お茶屋文化を大事にしたいという想いが強かったのもありますね」

――映画での描写は上七軒あたりではないですよね

周防監督「そうですね。祇園新橋と呼ばれる、よくニュース映像などでも出てくるところがモデルです。川があって、橋があって、ちょっとお参りできるところがある。単なる街並みというだけでなく、絵的なポイントがある。あそこに行くと『祇園に来たぜ』って感じがする。ただ、実際の祇園だともう少し賑やかなので、街のたたずまい自体は上七軒がイメージかな。まあ混ざっていますね。ただ知り合いは祇園に多かったので、祇園ネタも多いです」

――映画公開後、お茶屋さんなどの関係者から何か言われたりしましたか?

周防監督「面白くて、泣けたって。今年の『お化け』に行ったら、出し物で『舞妓はレディ』を歌う芸妓さんがいて(笑)。僕がお座敷にいてびっくりしてました。親しくしている芸妓さんは、映画を観たその日に電話をくれて、『まるー』って。その芸妓さんは、舞妓さんを6人くらい連れて映画館に行ってくれて、映画館の前で記念撮影をしたのを送ってくれました。何でも、芸妓さんや舞妓さんがご贔屓のお客さんと一緒に『舞妓はレディ』を観に行って食事をする『ごはんたべ』が流行ったそうで、一度に3組が映画館で一緒になったみたいな話も聞いたんですけど、とにかく、京都の人、あの場所で生活している人たちに褒められたのはやっぱりうれしかったです」

――それでは最後に、Blu-ray/DVDで観てほしいポイントがあれば教えてください

周防監督「やはり役者さんの歌ですね。僕なりの仕掛けで作ってあるので、通して観るのもいいですし、単独でも楽しんでほしいです。もし贔屓の役者さんがいるのであれば、その役者さんの歌を繰り返し楽しんでもらうのもいいと思います。普段は聴けないような役者さんの歌も入っていますから、そこに注目してみてください。あと、どうしても編集の都合でカットせざるをえなかった渡辺えりさんの歌と松井珠理奈さんたちのラップのシーンは必見です。本当に断腸の思いで切ったのですが、Blu-rayのおかげで復活できたので、ぜひ特典映像で楽しんでください。僕のこれまでに作った映画とは違って、通しで観なくても楽しめる作品になっていますので、Blu-ray/DVDならではの楽しみ方を見つけてください。よろしくお願いします」

――ありがとうございました

『舞妓はレディ』のBlu-ray/DVDは2015年3月18日発売。Blu-ray2枚組の「スペシャル・エディション」には、映像特典としてメイキング「舞妓はレディができるまで。」【完全版】や劇場未公開ミュージカル・シーンなどが収録され、価格は6,700円(税別)。DVD1枚組のスタンダード・エディションは3,800円(税別)。発売元はフジテレビジョンで、販売元は東宝。