5人のプロ将棋棋士がコンピュータ将棋ソフトと団体戦で戦う「将棋電王戦FINAL」が開幕し、第1局・斎藤慎太郎五段 対 Aperyの対局が14日、京都府・二条城で行われた。
第1局は、14日20時44分、斎藤五段が「第2回将棋電王トーナメント」第5位の将棋ソフト・Aperyに勝利し、全5局のうち、まずプロ棋士側が先勝をあげた形となった。将棋は、Aperyの四間飛車に対し、斎藤五段は居飛車穴熊を目指した。双方陣形が整わない段階でAperyが早い動きを見せたが、逆に斎藤五段が仕掛けてペースを握る。中盤でAperyに疑問と思われる手が出て斎藤五段がリードを奪うと、その差を徐々に拡大して押し切った。手数は115手で、消費時間は斎藤五段が3時間30分(残り1時間30分)、Aperyが5時間(残り0分)。また、これまでの「将棋電王戦」全体としては、阿部光瑠五段、豊島将之七段に続く3勝目なった。
終局後の会見で斎藤五段は「簡単に逆転するぐらいの差でしかなかったと思います。細かい時間帯の使い方も工夫をしましたが、ここまでうまく進んだのは驚きだった。すべて準備してきたことが出せた1局でした」と胸を張り、Aperyの開発者・平岡拓也氏は「見ていて驚くくらい今日は攻めていた。形勢が良くなることはなく、読みを外されるたびに評価を落としていった。この将棋は完全に力負けだった」と肩を落とした。
4月11日まで開催される「将棋電王戦FINAL」は、「第2回将棋電王トーナメント」上位5つのソフトと現役のプロ棋士5人による団体戦で、これまで開催された前3回はすべて総合成績でコンピュータが勝利。今回は「FINAL」と銘打ったとおり、人間対コンピュータの最後の団体戦となり、プロ棋士側は若手中心の対コンピューター適性が高いと思われる棋士で構成されている。持ち時間は人間側、コンピュータ側ともに5時間。プロ棋士側には前回大会同様、対局するソフトが事前提供された。また、対局におけるソフト側の指し手は、デンソーの子会社であるデンソーウェーブの新たなロボットアーム「電王手さん」が導入されている。