実力派お笑いコンビ「NON STYLE」。ツッコミ担当の井上裕介さんは、「よしもとブサイクランキング」を始めとする「負のランキング」も総なめにしているにもかかわらず、自信満々に「毎日が楽しすぎる」と言い切ります。日々をポジティヴに生きるためのメッセージをまとめた日めくり『まいにち、ポジティヴ!』(ヨシモトブックス/1,000円+税)を上梓した井上さんに、ポジティヴに働くためのコツを聞いてきました。

井上裕介(いのうえ ゆうすけ)
1980年3月1日、大阪生まれ。中学生の時に出会った相方、石田明と2000年5月にお笑いコンビ「NON STYLE」を結成。2008年「オートバックス M-1グランプリ2008」優勝など、数々のタイトルを獲得。2013年に初の著書『スーパーポジティヴシンキング~日本一嫌われている芸能人が毎日笑顔でいる理由~』を上梓

ポジティヴシンキングの源は?

――『まいにち、ポジティヴ!』やTwitterなどを拝見すると、井上さんが異常にポジティヴだということが伝わってきます。どうしてそんなに前向きでいられるんでしょうか?

「他人と比べない」ことです。人と比較するからストレスを感じますし、自分の能力のなさが嫌になる。僕より、ハッピーな人を見るから、僕は幸せじゃないんだと思ってしまう。他の人を軸にした幸せの基準ができてしまうんです。なので、僕はなるべく他人と比べる回数を少なくしようとしています。今の自分が楽しいか、「僕がハッピーなら、ハッピー」と考えることでポジティヴになれるんです。日めくりでも書いているように、「幸せランキング1位になる」ということが大切ですね。

――ポジティヴで良かったと思うことはありますか?

ポジティヴなツイートがきっかけで、ピンで番組に呼んでいただくことも増えました。そういう意味では良かったですね。

――Twitterなどで悪口を書かれて、落ち込んだり怒ったりすることはないのでしょうか?

一切無いです。Twitterって140文字じゃないですか。Twitterで僕に悪口を送るとすると、1分ぐらいかかるわけですよ。1度しかない人生の貴重な1分を、僕に時間を割いてくれているということが満足ですし、幸せ。僕は落ち込むタイプではないですし、相手がTwitterで僕に悪口を言って少しでもすっきりしてくれたらそれで幸せですね。

のっけからとにかくポジティヴな井上さん。相方の石田明さん(どちらかというとネガティヴ)からは、「俺にはできへんわー」と言われるのだそう。

――今回発売される日めくりは、そんな井上さんのポジティヴさが詰まったものだそうですね。オススメの言葉はありますか?

フレーズは基本的に自分で考えています。飲みながら「今いいこと言った」と思ったり、後輩に「名言出たじゃないですか!」と言われたらそれをメモしておく。日めくりタイプの名言集です(笑)。

気に入っているのは、20日の「立ち止まることを恐れるな」。自己啓発本では、「立ち止まるな」と書かれることが多いですが、止まることも大事です。止まるから、その先のルートを確認できる。後ろに下がるのは駄目だけど、振り返ることには意味があると思います。

東京に出てきた1年目が一番しんどかった

――M-1グランプリ優勝など、順調にキャリアを積んでいる印象がありますが…

全然立ち止まっていますよ! 僕らは元々ストリート漫才をしていたのですが、お客さんが2人だけだったこともありました。そこから大阪でレギュラーを任されるようになったのですが、今度は僕らがいた劇場が閉鎖されることになって、別の劇場に移るか、東京へ行くかということに…。

せっかく入った芸能界という世界ですし、やるからには日本で1番大きい街で勝負をしたいと。挑戦したかったんです。そうやって東京に出てきた1年目が一番しんどかったですね。仕事もお金もなくて。大阪ではレギュラーが9本ありましたから、それが一気に全部なくなるっていうのはね…。ゼロからのスタートは大変でした。

――大変な時期をどのようにして乗り越えたのでしょうか?

乗り切ったのは、支えてくれた先輩や仲間のおかげ。お金がなくて夜ご飯がたべられないときは、(レギュラーの)西川さんが毎日ごはんに連れて行ってくれたりとか。先輩にお世話になったということも、今の僕の大部分を占めていると思います。