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もしも弱っている子猫が目の前にいたら。もしもその子を保護したら。もしも里親を見つける必要があったなら……。子猫の保護に詳しい、猫保護団体東京キャットガーディアンさんが、よくある質問への回答を教えてくれました。

(画像と本文は関係ありません)

ケース1

【質問】 家の裏庭に、弱っている子猫がいます。柄は茶色のシマシマで、怪我はないようなのですが、フラフラしています。素人目ですが、栄養失調なのではと思っています。保護したいのですが……。自分の家では飼うことができません。どうすれば良いでしょうか?

【回答】

「一生責任をもてないのならば飼うな」というのは極論でして……。それは、今にも死にそうな猫にほんの少しのご飯すらあげてはいけないという意味ではないんです。交通事故で瀕死の状態になっている猫を病院に連れて行ってはいけないという意味ではないんですね。

東京キャットガーディアンでは、「最悪な状態よりも、猫にとってより"マシ"」であることを目指しています。例え手を差し伸べてくれた人に飼ってもらえなくても、飢えて死ぬよりもずっと"マシ"だと思うんですね。

ご自分の家で飼うことができないのなら、一時預かりでも良いですし、大変なことではありますが、猫の里親を探すという方法だってあります。何もしてはいけないという意味ではないんです。

ケース2

【質問】いつも散歩している河川敷コースがあるんですが、そこで明らかに一人では生きていけないであろう子猫がいました。他に兄弟らしい猫はおらず、その子一人です。保護したいのですが……。母猫がたまたま一時的にいない状態で子猫を保護したらそれはただの「誘拐」だと聞いたことがあります。どうしたら良いでしょうか……。

【回答】

この件に関して、可能性は2つあると思うんですね。母猫がちゃんと帰ってくる可能性と、帰ってこない可能性。

帰ってこない場合、子猫が死んでしまう確率はグンと上がります。保護できるのであれば、ぜひ保護してあげてください。子猫は本当に弱い生き物です。3~4時間のペースでミルクを飲むのですが、それより長い時間ご飯を食べない状態でいるのは危険です。ミルクがないと死んでしまいますからね。

また、母猫がちゃんと帰ってくるケースであったとしても、何時間後に帰ってくるのかわかりません。下手をすれば半日後、一日後かもしれません。その間、子猫の容態はどんどん悪化します。「お母さんは帰ってこないな」と人間が判断したときには子猫はもうグッタリしているかもしれないんですね。何も難易度をあげてから保護することはありません。

ケース3

【質問】ケガをした猫を保護しました。病院でも診てもらい、とりあえず一安心というところです。でも、どうしても家では飼うことができません。今から里親さんを募集したいのですが、何か注意点はありますか?

【回答】

保護猫の写真を出すと良いですね。ビラ配りでもウェブで募集するにしても、とにかく写真が重要です。その猫の柄が好みの柄だったり、知っている猫に似ていたりすると、どうしても情がわきます。何とかしたい、って思ってもらえるんですね。

ケース4

【質問】都内に住んでいます。近所の公園に、最近人懐こい猫が現れるようになりました。不審者がよく出る場所なので、虐待されないか非常に心配です(以前もそういった事件があった場所です)。今なら我が家で(もちろん完全室内飼いで)猫を飼うことができるのですが、この公園の猫が、誰か他の方の飼い猫という可能性がありますよね……? 首輪はつけていないので、飼い主がいない可能性もあるといったらあるんですが……。どうしたら良いのでしょうか……

【回答】

東京キャットガーディアンに、このようなお問い合わせが入った場合、「保護しても問題ないです」とお答えしています。万が一、飼い主がいたとして、猫を助けた方が訴えられて負ける可能性はまずありません。

民事の場合は、その元の飼い主及び飼い猫が被害を受けたかどうかが争点となりますが、虐待ではなく保護を目的としているので、このようなケースで、保護をしても問題はありません。首輪が付いていて飼い主の存在が推定されるような場合を除いて、保護して差し支えないと言えるでしょう。飼い主と称する人が現れたときは、本当に飼い主であることを証明してもらう必要があります。

また、例えば元の飼い主のもとへ猫をお返ししたところで、また外飼いする可能性は高いです。そうするとまた、心配した他の方が保護するかもしれないし、運が悪ければ虐待されてしまうかもしれない。また、外飼いの猫は交通事故で死亡する確率が高く、そういった人間以外の危険もあります。

いずれにせよ、誰が飼い主かが問題ではなく、猫にとって一番良いのは何かを考えることが大切です。

(※このケースは弁護士の監修をうけています)

ケース5

【質問】里親を募集する際、どんな内容にするのが良いでしょうか? 猫の写真、猫の性格、自分の居住地、譲渡の条件だけ書けば良いでしょうか

【回答】

それに加えて、ストーリーを書くと里親さんが見つかりやすくなります。どれだけ大変な思いをして保護したのか、どれだけ飼いたい思いがあり、どんな事情があって飼えないのかを書くと良いです。「私はひどい保護主ではありません」ということが伝わると、里親さん候補が安心してくれるんですね。

ケース6

【質問】保護した猫の里親を募集したいのですが、ネットを使うのが怖いです。虐待目的の人がたくさんいそうなイメージがあって……

【回答】

ネットの中でも、実生活の世界でも、虐待を目的にする人は必ずいます。ネットを使わず、ビラだけくばったところで、そのビラを手にした人の中に虐待目的の人がいないということは言い切れないんですね。この時代ですから、ネットを使わないと里親様が見つかる確率がとても下がってしまいます。自分からいたずらにネットを怖がって、里親候補を狭める必要はないんですよ。

ケース7

【質問】猫を保護したんですがまず何をすればいいのか、どうすればいいのか全くわかりません! どうすれば良いでしょうか?

【回答】

猫を保護した場合、最初にすることは「今すぐ治療する必要があるかどうか」です。ケガをしている、グッタリしている、体温が低い、ご飯を食べない、自分で動くことができないなど、すぐに病院へ連れて行く必要があるかどうかをまず判断します。

病院が遠く、到着まで時間がかかってしまう場合は、猫のバイタルサインをよく見る必要があります。例えば体温が足りないのであれば、すぐに温める必要があります。自販機で温かい飲み物を買って、布越しに猫に当てるなどの対処が必要です。

すぐさま病院に連れて行かなくても問題がない場合で、なおかつそのまま家で飼う場合は、ご自宅に連れて行く必要があるかと思います。その際注意すべきことは、「遮蔽物」を作ってあげることです。猫にとって初めての場所は、恐怖の対象となってしまいます。安心して隠れることができる場所を作ってあげると良いですね。猫目線で、猫に接するとあっという間に仲良くなれますよ。