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義母と娘のブルース

『義母と娘のブルース』桜沢鈴(ぶんか社)

“義母と娘は父が亡くなる前に分かり合うことができるのか?”——そんなテーマが重くのしかかる桜沢鈴の「義母と娘のブルース」。ブルース=アメリカ黒人の間で歌われた哀歌であり、義母と娘の、哀愁を帯びた物悲しい物語……。母が病死し、いまだに立ち直れない宮本みゆきと、余命いくばくもない父・宮本良一、そしてそんな二人と再婚同居することになった岩木亜希子の家族愛を描いた本作、確かに物悲しい一面も多いが、キモは“バリバリのキャリアウーマン”であり、何から何まで“ビジネスライク”な亜希子の行動や言動だ。娘を思いじっくりと話そうと思ったら面接風に、子供とは取引先のような話しぶりと、とことごとく“ビジネス”。父亡き後、娘は成長、相変わらずビジネスライクなところが抜けない義母・亜希子との親子関係の行方は? 体裁は4コマでありながら、流れるようにスト-リーが展開し、時に笑いながら、時に涙しながらグングンと読み進められる、重いテーマながら軽く読める、まさに“4コマ巨編”と言える。

ヤンデレ彼女

『ヤンデレ彼女』忍(スクウェア・エニックス)

世間にその名を知られた生粋のヤンキー娘・竜崎レイナと、真面目で普通の男子学生・田中学が互いにひとめぼれをし、その後付き合うことになる、ちょっと変わったラブストーリーを描くのが忍の「ヤンデレ彼女」。ヤンデレ=ヤンキー+デレの意である。恋愛に不慣れで、ヤンキー仲間には付き合っていることを隠したいレイナと、ある意味ぶっきらぼうでなりふり構わぬ田中、そしてやたらレイナになついてくる田中の妹でマゾの真夜美や、現役のころ“人間凶器”を恐れられていたレイナの母・蘭、レイナを慕うヤンキー・英子、美子、後にレイナの友人となる物語中唯一まともなクラスの体育委員・吉本聖、「文武両道・才色兼備」のナルシスト白鳥翼など、多彩で一癖も二癖もある主人公に勝るとも劣らない脇役たちの設定も魅力。4コマと言っておきながら、1コマや5コマ6コマのページもあり、4コマ特有の単調な展開は皆無。しかし各話でしっかりと着地できているのは著者の手腕と言えるだろう。一見くだらないレイナのこだわりにもなんとなく共感してしまう秀作だ。

リコーダーとランドセル

『リコーダーとランドセル』東屋めめ(竹書房)

“見た目は大人(アダルト)、中身は子供(ピュア)”小学5年生の宮川あつしと、高校2年ながらちびっこの姉・宮川あつみのコメディを描いた東屋めめの「リコーダーとランドセル」。32歳の隣人のお兄さんからの洋服を着こなしつつ、ランドセルを背負うあつし。映画館に入るのも大人料金、同級生の女子といたら不審者扱い、小学校では女性教諭をドキッとさせる、祭りに行くときには同級生の保護者代わりにされるなど、「ああ、もしイケメンで180cmの5年生がいたら、あるある」とクスッと笑ってしまう逸話ばかり。泣き虫で姉思いのあつしと、気高く弟思いのあつみが、さまざまな身長問題を解決していく(?)様が面白い。そして個人的にはいつも洋服をくれるが顔出しNGの謎の男、タケ兄の存在が気になるところ。あつしがこの後どんな出来事に巻き込まれていくのか、そしてあつみはどんなフォローをしなければいけないのか? と着地点はないものの、先が気になる、ほのぼの感がクセになる、そんな漫画である。

1位はヨシノサツキの『はんだくん』、5位に遠藤ミドリの『繰繰れ! コックリさん』、8位は忍の『ヤンデレ彼女』などがランクインしている。なお2月の4コマ漫画ランキングは以下の通り。

順位 作品タイトル 著者/原作者名
1位 はんだくん ヨシノサツキ
2位 義母と娘のブルース 桜沢鈴
3位 月刊少女野崎くん 椿いづみ
4位 アフォガード ミキマキ
5位 繰繰れ! コックリさん 遠藤ミドリ
6位 リコーダーとランドセル 東屋めめ
7位 あそこの処方箋 後藤羽矢子
8位 ヤンデレ彼女
9位 ぼくの奥さん 樹るう
10位 OL進化論 秋月りす