東京の新しいシンボル、東京スカイツリーは墨田区で2012年に開業した。墨田区は江戸・下町の雰囲気を色濃く残した街で、このスカイツリー徒歩圏内にも数軒の銭湯が残っている。今回紹介する「大黒湯」は押上駅から徒歩5分。東京スカイツリーからも徒歩10分の好立地にある銭湯だ。

墨田区は「大黒湯」のほか、東京スカイツリー徒歩圏内に数軒の銭湯が残っている

富士山ペンキ絵師が描く東京スカイツリー

大黒湯は昭和24年(1949)創業だが、2014年に全面リニューアルされた伝統とモダンが融合した銭湯で、見どころは多い。開店前、下ろされた入り口のシャッターには、富士山ペンキ絵師の中島盛夫氏による東京スカイツリーの絵が描かれている。

早速入ってみると、手前にフロント、奥には4~5人分位のロビーがある。湯上がりにはロビーでテレビを見たり、冷たい飲み物を飲んだりしてくつろげる。フロント前には券売機があり、こちらで入浴料を支払う。そして、下足箱の板鍵と交換にロッカーの鍵を受け取る仕組みになっている。

男女の湯は日替わりで入れ替わるのも特徴。奇数日は男湯が大露天風呂がある方で、女湯が炭酸泉のある方になり、偶数日はその逆になる。今回は炭酸泉のある方を紹介したい。岩風呂の大露天風呂は開放感抜群なので、ぜひ自分の目で確かめてみてほしい。

露天風呂に薬風呂に高濃度人工炭酸泉も

高濃度人工炭酸泉がある方のイメージ(S=シャワー)

脱衣所の天井は高く、折上格(ごう)天井からはファンがつり下がっているようなレトロなタイプ。ロッカーも天井の焦げ茶色の色合いに合わせられている。境目の上部には、テレビと時代を感じさせる柱時計が。そのほか、新型・旧型のマッサージチェア、脱衣カゴに体重計や洗面台。畳張りの腰掛けやテーブルが備えられている。

浴室に入ると、シャッター同様に中島氏のペンキ絵が眼前に広がる。広さとしては一般的なサイズだが、湯の種類は豊富だ。2012年には天然温泉に認定されており、湯の質もお墨付き。各種ジェットバスに薬風呂、サウナ(別料金)、水風呂と基本ラインナップに加え、目玉の高濃度人工炭酸泉も。炭酸ガスが溶け込んだ38度程度のぬるい湯で、肌がすべすべになると言われている。また、反対側ほどの広さはないが、こちらにも露天風呂がある。

さらに、男女どちら側も2階にウッドデッキスペースがあり、気候の穏やかな季節にはこちらで一休みするのもオススメ。ここからはなんと東京スカイツリー、そして、大黒湯の煙突を一度に望むことができる。かつては東京の空のシンボルとも言えた銭湯の煙突。ぜひ東京スカイツリーとの共演を堪能してみてほしい。

※記事中の情報は2015年1月時点のもの。イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。