ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』スペシャルの取材会が26日、東京・赤坂のTBS放送センターで行われ、作家の橋田壽賀子と石井ふく子プロデューサーが出席した。
今作は、小料理屋「おかくら」の主人・岡倉大吉が病で急逝したことで起こる5人姉妹の動揺を中心に描き、「おかくら」のこれから、大吉が残した遺産の相続などの様々な問題を姉妹はどう乗り越えていくのか。現実に社会が抱えている悩みや心の事件を取り上げ、リアルに掘り起こしていく。
今回、新しい物語を書き下ろした橋田は、「藤岡(琢也)さんが亡くなって、宇津井(健)さんが亡くなって、もう鬼はやめると決めていたんです」と心中を明かしたが、「どこに行っても『鬼はいつやるんですか?』っておっしゃっていただいて、鬼をやらないと悪いような気がしちゃって(笑)。お父さんが亡くなっても、始めた25年前に若かった人たちはみんな鬼の世代になっちゃったので、これからまた新しいドラマができるんじゃないかと思っていたら、今回お話をいただいたので、今一番問題になっている相続の問題を書かせていただきました」と経緯を説明した。
また、藤岡琢也の後を継いで二代目の岡倉大吉を演じ、昨年亡くなった宇津井健との思い出について聞かれた石井は、「藤岡さんで何年も続けてきた番組なので、そこに入りにくかったのではないかと思います。そうしましたら、一番初めに宇津井さんをお招きして、リハーサル室にお入りになったときに、『お父さんお帰りなさい』とみんなが言ったんです。それで"これはやらなきゃいけない"と思ったと、私は宇津井さんから伺っております」と秘話を明かした。
さらに、今作が『渡鬼』の集大成になるのか聞かれた橋田は、「今回は、相続という問題を書きたかったので、書かせていただきましたが、もし、これからほかの問題で書くことがあったら、鬼で書くのが一番楽なんですよね(笑)」とシリーズ継続に意欲をみせ、何歳まで現役を続けるか聞かれると、「まだ書きたいことがありますし、会社がまだ書かせてやるとおっしゃってくれたら、書かせていただきます。老人問題や子どもの育て方の問題など、世の中は問題だらけなので、ピックアップすればいくらでも書けます」と、90歳という年齢を感じさせない力強さで語った。
ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』スペシャルは、TBS系列にて2月16日(月)21:00~22:54に前編、2月23日(月)21:00~22:54に後編を放送。