北海道・函館を中心に全16店舗を展開するご当地ハンバーガーショップ 「ラッキーピエロ」は、函館出身のロックバンド「GLAY」のJIROさんが著書やラジオで紹介したことでも知られ、GLAYファンはもとより観光客にも人気が高い。過去には、「日経プラス1」が実施した何でもランキング「ご当地バーガーならこの店」で同店が第1位に選ばれたこともあるという。

一番人気の「チャイニーズチキンバーガー」(350円)にはある問題が!

一番の人気メニューは、揚げたての鶏唐揚げを中華風の甘辛い特製だれに漬け、焼きたてのバンズでサンドした「チャイニーズチキンバーガー」(350円)。フレッシュなレタスとさっぱりとしたマヨネーズがアクセントを添える。しかし、地元住民が親しみを込めて"チャイチキ"と呼ぶこの名物バーガーには思わぬ落とし穴が……。

ちょっとメルヘンな外観の「ラッキーピエロ戸倉店」には、いろいろとこだわりのインテリアが飾られている

年頃の女性を悩ますバーガー

"チャイチキ"には鶏唐揚げが3個はさまれているが、これが一口で食べるにはちょっと……という大ぶりサイズ。レタスとともにバンズからはみ出しているため、包み紙から取り出すのにも一苦労。いったん手に持つと、たっぷりのマヨネーズがバンズの間から飛び出してくるばかりか、バンズにトッピングされた香ばしいゴマがパラパラと落下。

気にせずかぶりつくと、あろうことかあれだけ楽しみにしていた鶏唐揚げが向こう側から宙を舞って逃げていくのである。かといって包み紙に包んだまま食べていくと、包み紙の内側に付いていたマヨネーズや特製ダレが鼻の頭に。地元民もよくやってしまう失敗だ。

そう、ラッキーピエロの"チャイチキ"は、上品に食べるのが非常に難しいバーガーなのだ。これは、特に年頃の女性にとっては由々しき問題。「ハンバーガーの食べ方が汚い」という理由でふられた日には、一生ハンバーガーを恨んで生きてゆかなければならない。

"チャイチキ"を両手に持つと、後ろ側から唐揚げが今にも落ちそうに

だが、商品を販売しているからには店として公式に推奨している食べ方があるに違いない。そうでなければ納得がいかない! ということで、ラッキーピエロに「"チャイチキ"の正しい食べ方を教えてください」とぶしつけなお願いをしてみた。

目からウロコの公式な食べ方

取材に応じてくれたのは、ラッキーピエロ戸倉店店長の坂本奈津子さん。開口一番、「包み紙から出してしまうと私たちでも落とします」。であれば、やはり包み紙に包んで食べるのが正しいのか。だが、食べているうちに包み紙が邪魔になっていくのはどうすれば?

「余分な包み紙を内側に折り込み、左右の手で両側からバーガーをグッと押さえ込みながら食べるといいですよ」。食べ進むにつれて包み紙も内側へと折り進めていくと最後まできれいに食べやすいのだという。

なるほど、これなら包み紙で顔や手を汚す心配もなく、大切な具が落ちることもない。ラッキーピエロに10年近く通いながら、"チャイチキ"を食べると手と顔のどちらかが汚れるのは避けられないと思っていた筆者も目からウロコ。他のバーガーでも応用が利くので、デートでも安心してハンバーガーを注文できそうだ。

まずは大き目の包み紙を内側に折り込んでいく

包み紙を全て折り込んだら、両側からしっかりホールドして食べよう

実は苦労せずにすむ裏技も

公式な食べ方の合理性に感心していると、「お皿に盛り付けてお出しすることもできますよ」と坂本さん。えっ?

よくよく聞くと、注文時に一言申し出るだけでどのバーガーもお皿に盛りつけて席に運んでくれるそうだ。ナイフとフォークが付いてくるので、手や顔を汚す心配も一切なし。だが、「やっぱりバーガーはかぶりつかなくちゃ!」という人はぜひ前述の食べ方を試してみてほしい。

ラッキーピエロは地産地消にこだわり、主な食材はもとより調味料に至るまでできる限り地元産を追求している。ハンバーガーを扱っているため"スピード勝負のファストフード店"と思われることもあるが、作り置きをせずに注文を受けてから調理するため、ハンバーガーでも注文してから出てくるまで平均で10分程度を要する。少しでもできたてのおいしさを味わってもらうためだ。

今回紹介した「チャイニーズチキンバーガー」のほか、特製ソースのかかった肉厚のパティとトマト、目玉焼きなどをはさんだ「ラッキーエッグバーガー」(390円)、チーズをのせたパティにミートソースと雪に見立てたたっぷりのホワイトソースをかけ、ポテトとオニオンリングを添えた「スノーバーガー」(550円)など独創的なバーガーをラインナップ。

目玉焼きが特徴の「ラッキーエッグバーガー」(390円)

ホワイトソースの雪がかかった「スノーバーガー」(550円)

さらに、カレー、カツ丼、オムライス、ハンバーグステーキ、ピザなど幅広いメニュー(一部は店舗による)で函館市民に愛されている。ちなみに「ラッキーピエロ」は、その店によって外観やインテリアが全く異なる。ホームページでは各店のデザインコンセプトも紹介しているので、気になる人は一度チェックしてみては?

※記事中の情報・価格は2014年11月取材時のもの。価格は税別