良いオフィスとはどのようなオフィスか、じっくりと考えたことはあるだろうか? 広々としている、最新の設備がある、都心の一等地にあるなど、人によって条件は様々だ。
100社以上のオフィスを訪問取材してきたというオフィスミル 代表取締役 白木航さんは、「緑」「コミュニケーション」「快適さ」が重要だと語る。東京・広尾にあるオフィスミル本社で、「良いオフィス」の条件について教えてもらった。
条件1:植物がある
オフィスミルの社内には、たくさんの種類の植物が置かれている。なぜ「緑」が良いオフィスの条件となるのだろうか?
白木さん「『緑と木』は快適なオフィス環境を作る上での重要なキーワードです。自然の中ってリラックス出来ますよね。逆に、緑視率0%の無機質なオフィスでは、落ち着くことができません。職場に対する愛着が湧きづらいという声もあります」
「緑視率」というのは、人の視野に占める植物(緑)の割合のこと。国土交通省の「都市の緑量と心理的効果の相関関係の社会実験調査」(2005年8月12日)によると、緑視率が高まるに連れて、疲労を和らげる効果、和らぎ感、爽やかさなどの心理的効果が向上するという。また、緑視率25%を越えると「緑が多い」と感じられるそう。
オフィスミルは「緑視率30%以上の環境」を目指し、「青山フラワーマーケット」を運営するパーク・コーポレーションに植物のインテリアコーディネートを依頼。常に緑が目に入る環境を設計して、安らぎを感じられるようにしたのだという。
白木さん「うちの職場では、緑視率を高めるために植物をいろいろなところに置いています。小さな植物でも、人の心に与える安らぎは大きいですから。また、『人が触れるところにはできるだけ木材を使うこと』もおすすめしています。本当はデスクも無垢材のものが望ましいですね。腕などで木のぬくもりを感じることも必要だと思います」
同社の床は木材のフローリングで、優しい色合いと木目が特徴的。リラックスしつつも集中できる環境作りには、「自然」の要素を取り入れることが条件のようだ。
条件2:活発なコミュニケーション
職場のコミュニケーションを活性化するためには、仕掛け作りが鍵となる。
白木さん「いかに『偶発的』コミュニケーションを起こせるかにも注目しましょう。あえて通路を狭くして、すれ違いの際にちょっとした会話が生まれるようにするとか、お互いが視界に入って声を掛けやすい環境作りが求められています」
同社の勤務スペースは、デスクの仕切りが一切なく皆が視界に入る。通路や机の配置を少し工夫することで、コミュニケーションはより活性化するのだそう。
条件3:快適さ
オフィスミルの社内にはいつも音楽が流れている。カフェであれば、常に音楽がかかっていてもおかしくない。しかしながら、事務作業中心の職場では、集中の妨げにならないだろうか?
白木さん「人は全くの無音だと集中できないんですよ。適度なボリュームで音楽を流すことで、リラックスした快適な環境を作り出すことができます。良い環境にいると、だれでも自然と優しくなれますよね? 転職理由の1つに『人間関係』があげられますが、人間関係悪化の一因は職場環境にあります。悪い環境に長くいると、人はイライラしてしまうんですよ」
同社は渋谷から移転したばかり。以前のレンタルオフィスは窓がなく、お世辞にも良い環境とは言えなかったという。開放的な窓から光が差し込む新オフィスでは、若い社員の活気や笑顔が増加。毎朝の通勤が苦にならなくなったという声もあがっているそうだ。
良いオフィスの3条件、あなたの職場ではどれくらい当てはまっているだろうか? 植物を置いて緑視率をあげるなど、今日からできる対策もある。快適なオフィスは仕事の効率も上がるはず。白木さんのアドバイスを参考に、環境改善に挑戦してはどうだろうか。