いよいよグランプリシリーズ開幕! 羽生結弦選手だけではなく、フィギュアスケートファン必見の選手は誰だ?

ついに10月25日、今シーズンのグランプリシリーズが開幕しました。開幕戦のスケートアメリカ大会は、町田樹選手がトータル269・09点で大会2連覇を果たしました。今回はグランプリシリーズの見どころについてお話しいたします。

田中刑事選手や本郷理華選手らフレッシュな顔に注目

グランプリシリーズとは、ISU(国際スケート連盟)が主催するシリーズ化された大会の総称です。アメリカ、カナダ、中国、ロシア、フランス、日本で試合が開催され、上位者には順位に応じたポイントが与えられます。全6戦終了時に獲得ポイントの多い上位6名が「グランプリ・ファイナル」へと出場し、そこで世界一を決めるというわけです。

出場選手は最大で2試合に出場し、1位の選手は15点を獲得できます。以下、2位は13点、3位は11点……とそれぞれポイントが与えられていきます。合計獲得ポイントでファイナルの出場者を決めるため、たとえ1試合で表彰台の上に立てたとしても、ファイナルに出場できるとは限りません。1戦1戦を大事にしていかなければいけないということです。

今シーズンは五輪終了直後のシーズンということもあり、出場者の顔ぶれも変わるのではないかと思います。日本でも、田中刑事選手、本郷理華選手、大庭雅選手、加藤利緒菜選手らがグランプリシリーズに初出場します。

4選手ともジュニア時代から活躍しており、今シーズンもすでにそれぞれが、出場した国際大会で表彰台や入賞などの結果を残しています。ジュニアの国際大会に比べると規模も大きくなり、雰囲気も変わりますが、飛躍的な活躍を期待したいです。

これまでにないジャンルの曲も使われる?

また、昨シーズン限りで引退した選手や今シーズンは休養すると発表した選手が相次ぎましたが、今シーズンに競技を続ける選手は、2018年の平昌五輪を見越しての調整が始まっているかと思います。「五輪までの4年を1シーズン」ととらえるのであれば、今シーズンはさまざまなことに挑戦してくる選手が多いのではないでしょうか。

ご存じの方もいるかもしれませんが、今シーズンからボーカル入りの楽曲の使用が可能になりました。選曲の幅が広がったことにより、今まで使ってこなかったジャンルの曲を使用する選手や、ジャンプやスピンの構成をより難易度の高いものにチャレンジする、またはオフシーズンの過ごし方を変えてみた選手もいるかもしれません。

選手によっては、グランプリシリーズは、オフシーズンに積み上げてきたものが正しかったのかどうかを確認する大会にもなりえます。「この選手は昨シーズンからどんな変化があったのかな? 」といった風に観戦してみると、他の大会とは違った選手の一面も見えてくるかもしれませんね。もちろん、シーズン中にジャンプなどの技の構成を変える選手もいることが予想されますし、3月の世界選手権まで目が離せないと思っています。

3組のアイスダンス・ペアカップルに期待

ここまでシングルスケーターを紹介しましたが、グランプリシリーズには、アイスダンス・ペアの選手も出場します。

ソチ五輪での団体戦での活躍もあってか、日本でもアイスダンス・ペアの競技をしたいという選手が増えてきました。アイスダンスの平井絵己選手や、ペアでソチ五輪に出場した木原龍一選手の2人は、シングルで全日本選手権に出場した後にアイスダンス・ペアに転向した選手です。

日本ではシングルに比べると、競技人口も少ないアイスダンス・ペアですが、今回日本からグランプリシリーズに参戦する3組(平井絵己&マリオン デ・ラ・アソンション組、キャシー・リード&クリス・リード組、高橋成美&木原龍一組)は、いずれも国際大会で結果を残してきており、今後の活躍に期待ができるカップルばかりです。

先のスケートアメリカ大会を皮切りに、グランプリシリーズは6週間連続で大会が開催されます。今回は男女シングルにソチ五輪金メダリスト(羽生結弦選手、アデリナ・ソトニコワ選手)がエントリーしています。2人とも追われる立場でシーズンを迎えることになりますが、より上を目指して、ぜひグランプリシリーズを盛り上げていってほしいです。

筆者プロフィール: 澤田亜紀(さわだ あき)

1988年10月7日、大阪府大阪市生まれ。関西大学文学部卒業。5歳でスケートを始め、ジュニアGP大会では、優勝1回を含め、6度表彰台に立った。また2004年の全日本選手権4位、2007年の四大陸選手権4位という成績を残している。2011年に現役を引退し、現在は母校・関西大学を拠点に、コーチとして活動している。