「生理(月経)が始まったら、お風呂は控えたほうがよい」。そう考えている女性も少なくないだろうが、果たしてそれは本当なのだろうか? それとも、気をつけて入れば大丈夫? 聞きづらい「生理中のお風呂」についてライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんにうかがった。
生理のときの入浴法とは
生理のときに入浴を避ける人も多いが、入浴でリラックスすることは生理の悩みにも効果的だと山岸さんは話す。
「生理の時期は気持ちも不安定になりがちなので、リラックスすることは大切です。入浴剤などの使用も問題ありません」。
湯量は全身浴でも半身浴でもOKだが、ゆっくりとよく温まることが大切。血行をよくすることは、生理痛の緩和にも効果的。ただ、熱いお湯はNGだ。
「湯温が熱すぎると交感神経が活発になってしまい、心身がアクティブな状態になってしまいます。そうなるとリラックス効果が期待できなくなるので、38~40度くらいのぬるめのお湯にゆっくりとつかることをお勧めします」。
生理による頭痛がある場合はシャワーで
一方で、シャワーを選択した方がいい場合もある。それは生理に伴う頭痛の症状が出ているときだ。
「生理周期に関連した頭痛は、排卵の頃と生理が始まる頃に起こりやすいと言われています。これはエストロゲンと呼ばれるホルモンが急激に減ることに伴って、血管が拡張することに起因します」。
エストロゲンは、排卵の前が分泌量のピークで、排卵が起こると急速に減少。そこからまた徐々に増えていき、月経が始まると再び減少する。この2回のタイミングで頭痛が起こるという。
「この頭痛は脈に合わせてズキズキと痛む特徴があります。吐き気や目のちらつきが起こることもあり、感覚として二日酔いやカゼによる頭痛に近いため、生理ではなく体質によるものと思い込んでいる人も多いですね」。
このような頭痛は、筋肉の緊張から血液の循環が悪くなって起こる頭痛とは逆で、入浴で血管を拡張させてしまうと頭痛をより誘発してしまう。そのため、シャワーなどで汗や汚れを落とす程度にとどめるようにするとよい。
大浴場や温泉は避けて
リラックス効果や血行の促進から、頭痛がない時期なら生理の期間でも推奨される入浴。だが、公衆浴場などは避けたほうがよい。
「浴槽の中は水圧があるため、経血が流れ出すことや子宮内にお湯が流れ込んでくることもほとんどありません。ただ、お湯から上がるときに水圧が無くなり、急に経血が流れ出てしまうことがあるので、大浴場や温泉は避けたほうが賢明です」。
気になる頭痛などを伴わない限り、生理の間は家庭のお風呂でお気に入りのアロマや入浴剤を使ってゆっくりとくつろぐのがよさそうだ。快適なバスタイムで、つらい生理を乗り切ろう。
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取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター・山岸理恵子さん
ボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。