そばを食べようとその辺のそば屋に入ったら、「もりそば」でも700円程度はする。もちろん、立ち食いそば店ならもっと安いのだが、やっぱりゆっくり座って食べたい! なんて思う皆様に朗報です。横浜には、格安でそばをたらふく食べられるお店があるらしいのです。

ワンコインで「富士山盛り」

そこでやって来たのは、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩5分ほどの場所にある「味奈登庵(みなとあん) 総本店」。横浜市内に15店舗、川崎市に1店舗を構える老舗のそば店だ。ここでは、「富士山盛り」なるまさしく超山盛りのそばを食べることができるらしいのだ。しかも、富士山盛りは普通盛りと同じ価格という。早速「もりそば」(500円・税込)の富士山盛りを注文だ!

創業40年の「味奈登庵(みなとあん) 総本店」。全78席

程なくして運ばれてきた「もりそば 富士山盛り」を見て仰天。そこにそびえたつのは、まさしくそばの富士山! これではアルピニストも登頂できそうにない!!

総重量1kgもあるという「もりそば」(500円・税込)の「富士山盛り」

早速ズズズッとそばをいただく。……お、おいしいいいいい!! この量でワンコインなので「味は二の次かな」と思っていたが、そばの香りがフワッと鼻に抜け、ツルツルッとのど越しも最高! そばつゆも風味がしっかりと感じられる。これだけのボリュームでも、どんどん箸が進んでしまうほどうまいのだ。

スルスルッと胃に入っていく。女性でも完食する人がいるそう!

店長の杉山善範さんによると、「厳選したそば粉を使用しているそばは、朝に自社の麺工房で麺打ちしたものをそのまま直送しているので、そば本来の香りが損なわれません。また、醤油とだしの調和がにこだわった麺つゆは無添加です」とのこと。量だけではなく、そばへのこだわりがハンパないっす!

今回、筆者が注文したのは「もりそば」(500円・税込)の富士山盛りだが、他にも「つけ天そば」(900円・税込)や「とろろそば」(830円・税込)なども富士山盛りにすることが可能。さらに味奈登庵ではうどんのメニューもあり、こちらも富士山盛りにすることができるそうだ。

会長の思いが詰まった誕生秘話

しかし、なぜこんな激安価格で富士山盛りを提供しているのだろうか。

「弊社の会長がサラリーマン時代、そばが大好きでよく食べていたらしいんですよ。でも、財布に優しいお値段でそばをおなかいっぱい食べられる店ってあんまりなかったとのこと。それで、『じゃあ、自分でおなかいっぱいそばを食べられるお店を作ろう』ということで、40年ほど前に味奈登庵を創業したそうです」。

なるほど、創業時からのコンセプトが、"そばを安い値段でおなかいっぱいに食べられるお店"だったというわけか。

お酒も400円からとリーズナブル!!

「ただ、当初は富士山盛りではなく、おかわり自由だったんです。でも、店員の負担や混乱を考えて、現在の富士山盛りの形になりました。そういった負担を減らす努力と会長の『お客様に満足してもらいたい』という気持ちから、消費税増税後も値上げはしていません」。

儲けよりもお客さんの満足度を優先するだなんて、ええ話だぁ……。夜にはそば居酒屋となり、「そば屋のいかげそ揚げ」(430円・税込)などのおつまみメニューと、「越乃寒梅 本醸造」(500円・税込)や「呉春 本醸造」(500円・税込)などの日本酒をはじめとしたお酒も豊富に取り揃えている。

「味奈登庵」は会長さんの思いから誕生した店なのだ。横浜を訪れた際は、中華だけではなく、そばでおなかいっぱいになってみるのもいいぞ!

(文・A4studio千葉雄樹)