毎朝会社に出勤、外回りでクライアント先をまわって、定時後に残業、週に数回は同僚とごはんでも…。日本の平均的なビジネスパーソンとして思い浮かぶのは、そんな働き方ですが、世界のビジネスパーソンはどのように働いているのでしょうか? カンボジア・プノンペンで旅行会社に勤めるクゥン・バンドールさん(41歳)に話を聞きました。

日本人はどんなお客様に対しても、最高のサービスを提供しますね。

■これまでのキャリアの経緯は?

クゥン・バンドールさん/ カンボジア・プノンペン在住/41歳/旅行会社勤務

1993年プノンペン市内のシソワット高校(旧ダウンペン高校)を卒業。1993年から7カ月間ほど、UNTAC(国際連合カンボジア暫定統治機構)に勤務。カンボジア初の選挙に向けて、地方都市コンポンスプーにて英語-クメール語の通訳を務めました。

その後1994~1995年シンガポール系縫製工場の会計担当として勤務し、1996~1997年はソフィテル・カンボジアーナホテルのビジネスセンターへ。1998年にホテルの経営状況が変わるのを機に、現在の日系旅行会社エーペックスに招かれて転職。現在プノンペン事務所にて管理部長として勤務しています。

■現在のお給料は以前のお給料と比べてどうですか?

UNTAC勤務当時は月370US$(約37,700円)ほどもらっていました。カンボジア初の国民選挙のためのお仕事で、多くの人が長くても1年程度の契約でした。私自身も7カ月間のみの勤務でした。

その後、縫製工場で会計として勤務していたときの給料は月70~100US$(約7,140~10,200円)程度。当時のワーカークラスの給料は月に30US$(3,060円)程度だったので、私はオフィス内で会計として働けてラッキーでした。1996年から務めたソフィテル・カンボジアーナホテルでは、月150~200US$(5,100~20,400円)程度。現在務めているエーペックスでは月600US$(61,200円)ほどもらっています。

※1US$102円(3月28日時点)で計算

■今の仕事で気に入っているところ、満足を感じる瞬間は?

旅行会社の仕事はチームワークなので、成功したときはやはりみんなで喜べるところがとてもうれしいです。それに今の仕事は、これまでで一番長く勤めているので、取引先の知り合いが増えて、仕事をする上でとても楽になりました。今ではホテルや移動のチケットの手配で、難しい要求にも取引先が応じてくれるようになりました。

■逆に今の仕事で大変なこと、嫌な点は?

やはり手配に失敗したときは大変です。以前、日本からのお客さまをプノンペンからシェムリアップに送る飛行機を手配したのですが、お客さまと一緒に空港まで行ったら、飛行機のチケットが取れていなかったのです。会議を控えている人で、そのときはもうカンカンに怒っていました。私の胸ぐらをつかんで、殴りかかってくるような勢いでしたよ…。けれどもそのまま空港でキャンセル待ちをして、奇跡的に空席ができたので、無事に送ることができたんです。あのときは本当にどうなるかと思いました。

■ちなみに、今日のお昼ごはんは?

牛肉と海鮮の「スキスープ」

今日のランチは、家族揃って牛肉と海鮮の「スキスープ」でした。スキスープはお隣タイで大流行した鍋料理「タイスキ」のカンボジア版です。ダシを入れた鍋に、牛肉や海鮮、えのきやかまぼこ、揚げ湯葉などの具をたくさん入れて食べます。暑い国カンボジアでも、鍋料理は大人気。ふだんの昼休みには家に帰って、こうして家族と一緒に昼食をとります。

■日本人のイメージは? あるいは、理解し難いところなどありますか?

現在日系の旅行会社での勤務なので、日本人と一緒に働いています。お客さんも日本人がほとんどです。2012年11月には日本の大手旅行会社に招待されて、日本に4日間滞在しました。カンボジアの観光省の人たちと一緒に、総勢10人強で都内を観て回ったり、温泉に行ったりしました。

実際に日本に行ってみて、公共設備も教育制度もすばらしいと思いましたし、本当に驚きました。働いていても感じることなのですが、日本人はどんなお客様に対しても最高のサービスを提供しますよね。時に厳しすぎるのではと感じることもありますが、カンボジア人も見習うべきだと思います。

■休みのとりかたは?

毎週土曜日の午後から日曜日が休暇です。忙しい時期には休日に出勤していることもありますが。4月中旬のカンボジア正月や、10月のお盆期間は祝日なので家族と一緒に過ごします。本来カンボジアの決まりでは年に18日休暇を取れることになっているのですが、毎日忙しいのでなかなか取れないのが現状です。

バンドールさんの家族

■将来の仕事や生活の展望は?

現状では今の職場が気に入っているので、まだしばらくはここで働きたいと思います。でも、もし今の会社を退職するとしたら、どこかまた他の会社に入るのではなくて、小さな自営業を始めてみようかとも思いますね。知り合いに薬屋さんがいるので、それを伝にして薬局を初めてみてもいいかも。旅行業を開業する、ということは残念ながらないと思います。