伊豆熱川の静かな別荘地に建つ「オーベルジュはせべ」は、愛猫家に人気の宿だ。その理由は、数匹のキュートな看板猫がお出迎えしてくれるからなのだとか。加えて、「オーベルジュ」(Auberge=宿泊設備を備えたレストラン)という名の通り、美食を堪能できる、知る人ぞ知る隠れ家的存在の宿である。

「オーベルジュ はせべ」館内と「金目鯛と蟹クリームの衣包み焼きトマトソース添え」(コース料理の中の一品)

母猫の「スー」が突然

オーナーは元々、東京でレストランを営んでいたとのこと。そのオーナーが繰り出す新鮮な旬の食材をたっぷりと使った料理を食べに、遠方から訪れる人も多いという。しかしなぜ、この料理自慢の宿に、かわいいネコちゃんたちが暮らすようになったのだろう?

「館内には7匹の猫がいるんですが、ある日、母猫の"スー"が迷い込んできたことがきっかけとなり、猫宿と化していったんです」。

しかも、7匹のネコちゃんたちはそれぞれ個性的なばかりか、名前もかなりユニークだ。

「長女の"かあちゃん"は丸々2年間家出していたのですが、ある日、突然帰ってきて、それからまた一緒に暮らしています。次女の"不思議"は、生まれた時からいつも他の兄弟たちと異なる行動を取るのでこの名前になりました。

「スー」

「かあちゃん」

「不思議」

時々挨拶をさぼる長男「ロン」

三女の"モコ"はうちで唯一の人見知り。ほとんどお客様の前に姿を現すことがなかったのですが、ここ最近は成長したのか、挨拶するようになりました。長男の"ロン"は、お客様をお部屋に案内する係として、テレビでも数回紹介していただきました。時々さぼります(笑)。太り気味でお医者さんからダイエットするように命じられています。

ロンと一緒に生まれた男の子"ホップ"は、よく女の子に間違われます。一番、写真うつりがいいので、お客様からフォトジェニックと褒められています。唯一、血のつながっていない"しっぽな"は、年齢も身体も一番小さいくせにいばっているので、"ブルドーザー"のあだ名を持ちます。お客様の前で『イニャバウアー』を披露することも」。

「モコ」

「ロン」

「ホップ」

何ともユニークな逸話の数々。しかも、彼らのお友達なのか、テラスにはちょくちょく外猫が遊びにくるのだとか。

「しっぽな」(「イニャバウアー」中)

外猫

「なにぶん猫なのでご了承ください」

「お客様も猫たちをとてもかわいがってくださるので、みんなのびのび暮らしています。猫好きな方からは、『パラダイス』『桃源郷』『世界一』なんてこちらが吹き出してしまうような賛辞をいただくこともあります。そしてありがたいことに、一番よくいただくお言葉は『かわいい猫とおいしいお料理がセットになったお店は他にない』ですね」。

確かに、猫好きからすればパーフェクトな店に違いない。

「今では猫たちもみんなもう大人ですので、おもちゃを追いかけて大暴れすることはないですが、お客様のお部屋へお邪魔したりおひざに乗せていただいたりと、気ままな日々を送っています。なにぶん猫なので、こちらの思う通りに行動しないこともありますが、その点はご了承くださいね」。

GWの予定がまだ決まっていない全国の愛猫家のみなさん、今年の春休みには是非、かわいいネコちゃんにたっぷりと癒やされてはどうだろう?