俳優の妻夫木聡が、戦前のカナダに実在した日系人野球チームを題材にした映画『バンクーバーの朝日』(12月公開)で主演を務め、KAT-TUNの亀梨和也、俳優の勝地涼、上地雄輔、池松壮亮らと伝説のナインを演じることが20日、明らかになった。

主演の妻夫木聡(左)と、バンクーバー朝日軍(右)

1914から1941年まで、カナダ・バンクーバーで活動した日系カナダ移民の二世を中心とした野球チーム「バンクーバー朝日軍」は、差別や貧困と闘いながら、日系移民に誇りと勇気を与え、フェアプレー精神で戦い抜き、白人社会からも称賛と人気を勝ち得たが、1941年の太平洋戦争勃発に伴い、チームは解散。半世紀以上たった2003年、カナダの移民社会、野球文化への功績が認められ、カナダ野球殿堂入りを果たした。

彼らの実話をもとに、このほど映画化が決定。監督は、『舟を編む』などで知られる石井裕也監督、脚本は『八日目の蝉』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した奥寺佐渡子が務める。

キャスト陣は、製作所で肉体労働に就く日系二世、朝日軍ではショートを守る"レジー笠原"役に妻夫木聡、同じく日系二世で漁業に従事するチームのエースピッチャー"ロイ永西"役に亀梨和也、レジーの職場の同僚でチームではセカンドを守る"ケイ北本"役に勝地涼、実家の豆腐屋で働くキャッチャーの"トム三宅"役に上地雄輔、ホテルのベルボーイとして働くサードの"フランク野島"役に池松壮亮が決定。そして、移民一世でありレジー笠原の父親"笠原清二"役を佐藤浩市が演じる。

主演の妻夫木は「このバンクーバー朝日軍の一員として演じられることを光栄に思います。日系人として生まれて、差別や排斥運動など厳しい境遇の中で生きた彼らの誇りを胸に、演じるということをいい意味で忘れて、この世界で僕自身もはいつくばって生きていけたらと考えています」と意気込みを語った。

亀梨も「この作品に参加できることを誇りに思います」と喜び、「僕自身、野球の経験はありますが、その時代の方たちの野球のスタイルというものを一から学び、考え、日本人としてこの歴史をしっかりと胸に刻み、撮影に挑みたいと思います。妻夫木さんをはじめ、共演者の方たちと最高の、そして最強の"チーム朝日"を作っていきたいと思います」と気合を見せている。

なお、役者陣に吹き替えなしのプレーと演技を求める石井監督のもと、事前にチーム合宿を実施するなど、クランクイン前から「バンクーバー朝日軍」のチーム作りを開始。そして、2月18日にクランクインし、クランクアップは4月20日を予定している。撮影では、栃木県足利市に広大なオープンセットを組んで当時の野球場や日本人街、白人街を再現する。

左から、勝地涼、上地雄輔、池松壮亮、佐藤浩市

当時の野球場や日本人街などを再現するオープンセットイメージ