続いては、アルゼンチンの雑誌から発表されたボードゲームの『Battleship』を原案として制作されたハリウッド超大作。ユニバーサル・ピクチャーズ100周年記念作品で、2億ドル以上の制作費がかけられたものすごい映画である。
ゲーム的な展開をハリウッドが本気で実写化「バトルシップ」
「バトルシップ」 (c) 2012 Universal City Studios Productions LLLP. ALL RIGHTS RESERVED. |
ゴールデンラズベリー賞では、人気歌手でもある女優リアーナが最低助演女優賞を受賞してしまっている。
本作の見どころは、なんといっても米海軍と日本の海上自衛隊とが共に戦う熱い展開だろう。舞台となるのは太平洋ハワイ沖。宇宙から飛来したエイリアンと人類との手に汗握る攻防が繰り広げられるのだ。
主人公はテイラー・キッチュ演じる米海軍大尉のアレックス・ホッパー。そして、浅野忠信演じる自衛官のナガタだ。米海軍と海上自衛隊が参加する環太平洋合同演習がハワイ近海で行われていたちょうどそのとき、太平洋各地に5つの謎の物体が飛来する。物体の正体は宇宙から飛来したエイリアンの戦闘メカ。
アレックスは、地球征服を目指すエイリアンの攻撃によって艦長を失った米海軍の駆逐艦USSジョン・ポール・ジョーンズの指揮を執ることになり、海上自衛隊の護衛艦「みょうこう」のナガタらと協力してエイリアンを迎え撃つことになる――。
本作の魅力の一つは、2億ドルをかけたというド派手なバトルシーンだ。エイリアンが操る巨大戦艦と人類側の戦艦との撃ち合いはもちろん、エイリアンと人間の肉弾戦や、ボール型の戦闘メカに次々と破壊されていく市街地など、遠慮なく破壊しまくる派手なバトルがたまらない。エイリアンの造形が比較的に人間に近かったり、ちゃんと宇宙服を着ていたりと、妙にリアリティを追求しているところにも注目したいところだ。
とはいえ、本作は単純なドンパチ映画ではない。アレックスの人間的成長や、ナガタとのライバル関係など、ヒューマンドラマとしても見どころ満載の映画なのだ。
さらに、アクション映画としても展開が練られている。エイリアン側は全力をもって人類を滅亡させにきているのではなく、やってきたのは様子見、つまり先遣隊なのだ。しかも地球に突入する際、事故で一機を失っている。このことから、彼らは本気で人類を滅亡させにかかるのではなく、まずは地球の通信所を乗っ取って母艦に応援を呼ぼうとしている。文明的にはエイリアンが圧倒しているが、戦力としてはまだ人類に勝てる見込みがあり、応援を呼ばれる前に潰さなければならない――この部分が本作のキモだ。
まるで戦略シミュレーションゲームのような刻一刻と変わる展開が面白い本作だが、ボードゲームが原案と聞けばそれも納得。ゲーム的な展開をハリウッドが本気で実写化するとこうなるんだぜと言わんばかりだ。
物語はラストに向かうにつれてさらに斜め上に進んでいく。「え、そんなのアリなの!?」と思わずツッコんでしまう超展開からの盛り上がりは最高潮だ。細かいツッコミどころを言い出したらキリがないが、本作はそういう楽しみ方をする映画ではない。人類 VS エイリアン。主人公とライバルの成長と友情。ハリウッドが本気を出して作った、ド派手で緊張感あふれるバトルシーン。それでもって最後は誰も予想しなかった展開を迎えて気持よくスッキリ! これぞエンターテインメント映画だろう。
前述した通り、今年のゴールデンラズベリー賞を前に、「スノーホワイト」と「バトルシップ」がWOWOWで放送される。放送日は「スノーホワイト」が3/2(日)深夜3:50、「バトルシップ」が3/2(日)深夜1:35だ。(スノーホワイトは他特集にも登場し、2/11(火・祝)午前9:35と2/15(土)よる6:45にも登場する)詳細はこちらをご覧いただきたいが、まだ見たことがないという人は、この機会にぜひ。