──オープン・ユニバーシティのプログラムは、実践に使えるものなのでしょうか。

中島氏: 受講生の方々からは、「学んだことを実務に結びつけやすい、理論をビジネス現場に応用してみると色々なことが見える、実際に職場の問題解決に繋がった」などという声がよく寄せられます。英国のQAA(Quality Assurance Agency for Higher Education=高等教育品質保証機構)では、「MBAの定義」の項目の中で、MBAとは、「専門知識ではなく総合的な一般的な理論であること」「ビジネス現場に実際に生かせるものであること」を謳っています。

その言葉の通り、オープン・ユニバーシティのMBAでは、アカデミックなものとプラクティカルなものが分離せずに密接に関わった状態で学習を進められるよう、徹底的にこだわったカリキュラムとなっています。

具体的には、学んだことをすぐビジネスで実践し、その結果をReflectionも含めて学校にレポートする、”Learn→Apply→Reflect”のサイクルを繰り返します。学校側も、このサイクルを繰り返すことで、多くの受講生からのデータを集め、より学習理論を発展させ、さらに実践に役立つカリキュラムへと改善していきます。

米国のケーススタディ派(他企業の事例をもとに学習)のMBAともかなり趣を異にしており、「仕事をしながら受講できるMBA」であるだけでなく、より学びの意義を高めるためにも「仕事をしながら受講してほしいMBA」ですね。

また、オープン・ユニバーシティでは、「学習者」が学びの主役です。「チュータ」は、学習者の議論をファシリテートしたりサポートしたり、課題添削にて詳細にフィードバックしたりしながら、皆の学びを支えます。

なお、イギリスのゴードン元首相もオープン・ユニバーシティのチュータをしていたそうです。首相就任演説はオープン・ユニバーシティのキャンパスから放送されたと伺いました。また、エリザベス女王は即位60周年の際、英国がなしえた60の偉大なことの中に「オープン・ユニバーシティの開学」を含めています。イギリス国にとっても、とても重要な、新しい形の学びへの挑戦の場であることが伺えます。

──現在、受講生にはどのような年代や職業の方が多いのですか。

中島氏:年代も職業も様々ですね。20代から70代まで幅広く在籍しており、業種等も製造業や官公庁、外資系や日本系など多岐にわたっています。男女の比は約6:4ですが、女性は元気な方が多く皆を引っ張ってくれています。

──MBAの他に、提供しているカリキュラムはありますか。

中島氏:MBAの入学条件の一部を満たしていない方に対して、進学までをサポートするプレMBAコースを提供しています。また、オープン・ユニバーシティが開発したプレMBAコースを、国内最大手のeラーニング企業「ネットラーニング」にて日本人向けにアレンジし直した実践ビジネス語学プログラム「グローバル・コミュニケーション・スキル」もとても人気があります。

英語が少しでも不安な方は、ぜひ、事前に受講いただき、ビジネスコミュニケーション力向上のみならず、クリティカル/ロジカル思考を重んじる英国型の学習スタイルやマインドセットに十分に慣れ、ご準備いただければと思います。

余談となりますが、最近、大規模な無料オンラインコース「MOOCs(Massive Online Open Courseware)」の英国版:Future Learnが、2013年10月、オープン・ユニバーシティなどが率いる形で開始しました。MOOCsでは、米国MITやハーバード大学、スタンフォード大学などが主導するCourseraやEdxなどが有名ですが、Future Learnは初の英国発MOOCsとなります。こちらも気軽に受講でき、世界中の受講生の多様な視点を知ることができるというとても有意義なコースです。私も受講していますが、とにかく面白いので一度「受講」してみることをおすすめしますね。

──なるほど、学びたいことや目的に応じて、無料のコースまで含めた多様なカリキュラムを用意しているようですね。最後に、日本のビジネスパーソンに向けて何かメッセージをください。

中島氏:ぜひ、経営管理のグローバルスタンダードやマインドセットを身につけて、ビジネスの場で積極的に生かし、これからの国際社会をリードしていっていただければと思います。日本の方は、どうしても学ぶというと“1つの正解、模範解答を教えてもらう”という意識・姿勢になりがちですが、オープン・ユニバーシティで学ぶことができれば、ビジネスや人生の中の答えは決して1つではなく、いろいろな人々と議論しながら多様な環境の中でロジカル&クリティカルに自分なりの結論を導き出すものなのだということを、その必要性とともに体感していただけることでしょう。

そして、グローバルビジネスの最前線に出ていき、「夢」を実現する中で、今度は日本の持つ素晴らしいさまざまな宝を世界に発信できるような人材となっていただければと思います。みなさまの未来への一歩を、私たちも少しでもお手伝いさせていただければ、幸せに思います。