旅行でこんなところに泊まれたら……それを叶えるのが「Airbnb」

宿泊先を探す旅行者(=ゲスト)と、空き部屋を貸したい人(=ホスト)とをつなぐwebサービスとして、海外では既に多くの人に利用されている「Airbnb(エアービエヌビー)。現在、世界192カ国3万5,000都市に約50万の登録物件があり、一軒家やアパートの空き部屋に加えて、城、ツリーハウス、ボート、島などといった突飛な物件まで存在するのだとか。

2013年には同サービスの日本版公式サイトもオープンしたが、オリンピック開催を控えた東京において、今後、大きな役割を果たすことになるのだろうか。Airbnb設立者・CTOのNathan Blecharczyk氏にお話を伺った。

友人の体験でサービスをひらめく

―そもそもAirbnbのサービスはどういうきっかけでスタートしたのでしょうか?

サービスのアイディアは2007年10月に生まれました。当時、失業中だった私の友人Johnが、デザインカンファレンスに参加するためにサンフランシスコの宿をとろうとしたのですが、予算オーバーで頭を悩ませた結果、開催地在住の友人Brian宅にJohnが使っていたエアーベッドを持ち込み、B&B(宿泊と朝食がセットになった、海外では一般的な宿泊スタイルのひとつ)として他の参加者にも貸し出すことを思いついたんです。

そのエピソードから社名をAirbnbと決め、3人でこのサービスを世界中に展開させようと、2008年8月に創業しました。

Airbnb CTOのNathan氏は、笑顔がすてきなナイス・ガイ

―そこから急成長を遂げて、わずか5年で世界中の人に利用されるようになったとは驚きですね。

ありがとうございます。前年度(2013年)には、成長率360%という数字をたたき出すことができました。そして昨年末、airbnbの物件に滞在して年越しした方は25万2,000人もいらっしゃいました。これは本当にうれしいことです。

―ゲストに支持されている理由は何だと思いますか?

実際に人が住んでいる(た)家や空き部屋をお借りするので、現地の人とのコミュニケーションを楽しめることでしょう。それこそまさに、旅行者が求めていることですから。

それに、例えばホテルに泊まっていると、エントランスから自分の部屋に戻るまでの道のりも非日常のものですが、空き物件を利用すれば、窓を開けた瞬間にその街の雰囲気を感じることができます。また、様々なタイプの宿泊先が登録されているので、選ぶ楽しみもありますね。アパートまるごとの貸し出しだったり、夕食付きだったり。

家の形態も様々で、ツリーハウス、ボート、城なんかも登録されています。こういった物件をうまく利用して、単に宿泊するだけでなく、例えば結婚式の会場として利用するゲストもいらっしゃいましたね。

登録されている家の一例

登録されている家の一例

同等のホテルと比較してもかなり割安に

―それは大変魅力的ですが、利用料金が気になります。

手ごろなものからそれなりのものまでそろっていますが、何より、「価格以上の価値」を見いだせることがポイントです。ホテルと同等料金で、2~3倍の広さを占有できるメリットもあります。実際、私自身が今回東京に滞在するにあたってAirbnbを利用しているのですが、2部屋半+ベッドルームというゴージャスなタワーマンションを、同じ広さのホテルと比較してもかなり割安な料金でお借りしています。

プライスレスな空間なのに、かなりお得に泊まれることも

―ご自身でもAirbnbを利用することがあるんですね。

もちろん! ビジネスでも観光でも利用しますよ。前回はバリに宿泊したのですが、この時に利用した宿泊施設は、過去に利用したものの中でも断トツでした。何せ、4階建てのバンブーハウスで周囲は大自然! 電灯も電気スイッチも、全部バンブーで彩られているんです。感動しましたね。結婚の記念に妻とふたりで訪れたんですが、すばらしい時間を過ごせました。

―大自然の中にも宿泊施設があるんですね。

そうなんです。宿泊施設は、ホテルのように特定の地域に集中しているわけではなく、ありとあらゆるところに存在します。Airbnbのサイト上では各地域の情報も得ることができますし、路線情報も提供しているんですよ。

まずは東京、今後は大阪や京都にも

―来る2020年の東京オリンピック開催の際には、Airbnbはどういった役割を果たすと思われますか?

今のところ都内では1,000の物件が登録されているのですが、オリンピックに向けて更に多くのホストにご協力いただけたらと考えています。

ちなみに、現在、パリでは2万件、NYでは2万5,000件の物件が登録されています。ふたつの都市同様、東京も世界から注目されている大都市ですので、今後ますますニーズが高まっていくはずです。もちろん、これから先、日本の文化はますます注目を浴びるでしょうから、東京だけでなく大阪や京都などの物件も増やしていきたいですね。

東京物件の一例

―ゲストをお迎えする際、どのような「おもてなし」をすれば喜んでいただけますでしょうか?

日本人はそもそもホスピタリティーの文化を持ち合わせていますよね。私も今回の滞在中、レストランでのサービス一つひとつにおもいやりの心を感じることができました。宿泊前のオンラインでのやりとりひとつとっても、ゲストに強い安心感を与えることができるに違いありません。

―ちなみに、家具をはじめとした器物破損などのトラブル発生時に対応するために、整えているシステムはありますか?

もちろんです。まず、ホスト・ゲストともにプロフィール欄に口コミのレビューが掲載されているので、相手のこれまでの評価を確認できます。また、ゲストは宿泊検討にあたってホストへ質問を投げかけることもできるので、やりとりを経た上で、「この人になら部屋を貸してあげたい」と思う人にのみ宿泊を許可すればよいので安心です。

支払いは、Airbnbを通してクレジットカードで行われます。破損などの損害については、最大8,000万円までAirbnbで保障しています。カスタムサポーターの対応は24時間。困ったことがあればすぐに問い合わせていただけます。

―それは安心ですね。オリンピック開催を待たずして、日本でも急激に人気が高まりそうな予感がします。

ありがとうございます。私は昨日東京に到着したばかりなのですが、昨晩利用したレストランもすばらしくユニークで東京が大好きになりました。日本でもたくさんの方々にAirbnbのことを知ってもらえたらうれしいですね。