帝国データバンク(以下、TDB)は20日、「人手不足に対する企業の意識調査」の結果を発表した。

同調査は、2013年12月16日~2014年1月6日の期間に実施。調査対象は全国2万2,884社で、有効回答企業数は1万375社(回答率45.3%)。

まず、現在の従業員の過不足状況を聞いたところ、正社員が「不足」(計)していると回答した企業は4割近い36.8%。他方、「適正」と答えた企業は50.3%、「過剰」(計)とした企業は12.9%となった。

正社員が「不足」していると回答した企業を業種別に見ると、トップは「建設」の59.7%。以下、「人材派遣・紹介」が59.4%、「情報サービス」が58.2%、「専門サービス」が57.6%、「自動車・同部品小売」が52.9%と続き、消費増税前の駆け込み需要やアベノミクス効果により、景況感が急速に回復している業種(TDB景気動向調査より)で人材不足が目立った。

従業員が不足している業種上位10業種

非正社員について見た場合、「不足」(計)と回答した企業は24.2%。ただ、「適正」は66.6%に上り、「過剰」(計)も9.2%となった。

非正社員で最も人手が足りないと感じている業種は、「飲食店」が最も多く53.2%。次いで、「人材派遣・紹介」が49.0%、「旅館・ホテル」が45.5%、「医薬品・日用雑貨品小売」が42.9%と続き、消費者と直に接することの多い業種で高い数値となった。

人材が不足(正社員、非正社員どちらか)している部門・役割は、「生産現場に携わる従業員」が55.1%で最多。TDBは「今後の景気上昇期における生産活動のリスク要因となる恐れがある」と指摘している。以下、「営業部門の従業員」が47.1%、「高度な技術を持つ従業員」が33.6%と続いた。業界別に見ると、生産現場は「農・林・水産」「建設」「製造」で、営業部門は「不動産」「卸売」で、いずれも7割を超えた。

人手不足による影響については、57.7%が「需要増への対応が困難」と回答。次いで、「経営力、企画力、営業力の維持・強化が困難」が29.8%、「技能・ノウハウの伝承が困難」が27.1%、「組織の高齢化が解消できない」が27.0%となった。特に、需要増への対応については「建設」業界の77.6%が挙げていた。

人材の確保・定着対策としては、「やりがいのある仕事を任せること」が48.7%で最多。以下、「人事考課の適正性の確保・向上」が33.2%、「上司・先輩とのコミュニケーション」が31.6%と続いた。

企業の中には「今年度は忙しいが、来年度の見通しが立たないために正社員の採用が難しい」(建設、熊本県)など、人手不足を感じつつも人員増加に躊躇しているケースも見られる。TDBは「中長期的に持続可能な経済成長を実現する成長戦略を推進し、企業が抱いている懸念を払拭する必要がある」としている。