かつて経済・産業の中心を担い、また多くの新聞社が拠点を置いていた大阪。したがって、大阪発祥の製品や企業は数多く、大阪に拠点を置いて活動していた作家・文筆家もいる。そんな大阪が誇る企業や文化人の歴史や功績にふれることができる博物館・資料館を紹介しよう。
オリジナルカップヌードルが作れる!
日清食品の創業者である安藤百福氏は、大阪府池田市の自宅裏に建てた小さな小屋で研究・開発を重ね、1958年に「チキンラーメン」第1号を完成させた。これこそまさに、現在広く流通しているインスタントラーメンの原型である。
そのインスタントラーメン発祥の地にあるのがインスタントラーメン発明記念館。館内ではインスタントラーメンの歴史はもちろん、日清食品の代表的商品であるカップヌードルの開発エピソードや、製造工程なども紹介。また、先述のチキンラーメン第1号が生み出された小屋も再現されている。
さらに、「チキンラーメンファクトリー」(有料・要予約)というコーナーでは、小麦粉からチキンラーメンを手作り体験でき、「マイカップヌードルファクトリー(有料)」では好きなスープと具材を自由に選び、世界でただひとつの“マイオリジナルカップヌードル”を作ることができるのだ。
●Information
インスタントラーメン発明記念館
住所:大阪府池田市満寿美町8-25
営業時間:9:30~16:00
定休日:火曜
入館料:無料
アクセス:阪急電車宝塚線「池田駅」から徒歩約5分
グリコキャラメルの歴代オマケの展示も
大阪の街を象徴する風景として有名な道頓堀のネオンサインの中でも、一際目立つグリコの看板。江崎グリコは大阪市西区で1921年に創業した菓子メーカーだ。現在、大阪市西淀川区にある同社の本社敷地内には、江崎記念館が設けられている。
ここではグリコキャラメルやポッキーなど、同社がこれまでに生み出してきた数々のお菓子のパッケージなどが展示されている。そして何と言っても見ものなのが、食玩(グリコキャラメルなどに付いていたオマケのおもちゃ)の展示。ずらりと並んだ歴代の様々なミニチュアグッズはとてもかわいらしく、また、その出来栄えは見事である。
●Information
江崎記念館
住所:大阪市西淀川区歌島4-6-5
営業時間:第1第3土曜10:00~16:00、月~金13:30・14:30・15:30
定休日:第1第3除く土、日祝
入館料:無料
アクセス:JR東海道本線「塚本駅」から徒歩約16分
在りし日の司馬遼太郎を知る
「国盗り物語」「竜馬がゆく」「坂の上の雲」など映画化・ドラマ化された作品を始め、数多くのベストセラーを生み出した大阪出身の人気歴史小説家・司馬遼太郎。彼が病に倒れるまで作家として過ごした東大阪市の自宅敷地内に、彼の業績を伝える司馬遼太郎記念館が建てられている。
6万冊に及ぶ蔵書や資料、執筆に使用した書斎が晩年に使用した時のまま残されており、また、隣接地に新たに建てられた安藤忠雄設計による展示室では、蔵書のうち約2万冊、直筆原稿、自筆の絵、色紙といった資料、そして眼鏡、万年筆、バンダナなどの愛用品を展示。彼の熱心なファンはもちろん、そうでない人も見応えのある資料館となっている。
●Information
司馬遼太郎記念館
住所:大阪府東大阪市下小阪3-11-18
営業時間:10:00~17:00
定休日:月曜
入館料:小学生200円、中高生300円、大学生・大人500円
アクセス:近鉄奈良線「八戸ノ里駅」から徒歩約8分
貨幣鋳造の工程や様々な銀貨・金貨を紹介
100円玉や10円玉などの硬貨、そして政府発行の勲章・褒章などを製造しているのが言わずと知れた造幣局。大阪市北区天満にその造幣局本局が置かれており、敷地内は桜の名所としても有名だ。
同局構内には造幣博物館もあり、大判・小判・丁銀・貿易銀・皇朝十二銭などの古銭を始め、国内外の貨幣約4,000点を展示。また、貨幣と勲章の製造工程も紹介している。重厚な赤レンガの建物自体も、1911年築の貴重な歴史的建造物だ。なお、予約が必要となるが、実際に貨幣鋳造している工場の方も見学可能となっている。
●Information
造幣博物館
住所:大阪市北区天満1-1-79
営業時間:9:00~16:45
定休日:土日祝
入館料:無料
アクセス:JR環状線「桜ノ宮駅」から徒歩約15分
大阪に行った際には、お好み焼きやたこ焼きなどの名物B級グルメもいいが、こうした大阪ならではの文化施設に足を運んでみるのも面白いのではないだろうか。