1962年にデヴィッド・リーン監督がT.E.ロレンスの活躍を描いた映画『アラビアのロレンス』で主演を務めたことでも知られる俳優のピーター・オトゥールが14日、長年に渡る闘病生活の末、入院していた英・ロンドン市内の病院にて息を引き取った。 享年81歳。
『アラビアのロレンス』で一躍名をはせたピーターは、その演技が認められてアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、その後も『ベケット』(1964年)、『スタントマン』(1980年)、『チップス先生さようなら』(1969年)などの数々の作品で合計8回もオスカー候補に名前が挙げられた。その後、映画界にて人々の記憶に残るような役柄を見事に演じきったことが評価され、2003年には70歳でアカデミー名誉賞に輝いている。その際には、アカデミー側に「まだ自分は現役俳優として賞レースに参戦できる」と伝え、80歳になるまで同賞の受賞を遅らせて欲しいと当初は受賞を断る意向を示し、実際にその3年後となる2006年に『ヴィーナス』(2006年)で最後となるノミネート入りを果たしている。
アイルランド出身のピーターは、2人の娘ケイトさんとパトリシアさん、そして息子のローカンさんにみとられ、ケイトさんは次のような声明を残している。
「父や残された私たちに対して、皆さんが示してくださっている暖かい愛情に感謝の気持ちでいっぱいです。皆さんに心の底から感謝しています。近いうちに、父が望んでいた通り、生前好きだった歌などで彩られた葬儀を行うつもりです。その際に皆さんとお話しできたら幸いです。それまでは、父への敬意のかたちとして、家族だけで静かに死を慎む時間をいただければ幸いです。皆さんから届く美しい追悼の言葉に感謝いたします」
60年代には大酒飲みのパーティー好きとして、ハリウッドでもその豪快な遊びっぷりで有名だったピーターは、生前に「俺とリチャード・バートン、リチャード・ハリスは当時よく、みんながプライベートでやるようなどんちゃん騒ぎを大っぴらにやったものさ。公の場でもよく飲んだし、マリファナだってやったもんだよ」と振り返っていた。しかし70年代に入り膵炎と診断されてからは、飲酒を禁じられていた。昨年に俳優業から引退したピーターは、その際「涙なんか見せないで引退するよ。感謝の気持ちでいっぱいさ」と話していた。
(C)BANG Media International