歌舞伎俳優の片岡愛之助が、漫画家・楳図かずおの初監督作となる映画『マザー』(2014年9月27日公開)で主演を務めることが11日、明らかになった。

映画『マザー』で初めて監督を務める楳図かずお(左)と片岡愛之助

本作は、「おろち」「洗礼」「まことちゃん」などのホラー漫画で知られる楳図かずおの自叙伝的ストーリー。楳図の生い立ちをまとめた本を出版するために、担当編集・さくらは取材を重ね、亡くなった母・イチエ(真行寺君枝)の存在が楳図の創作の原点に影響を与えていることを知る。さらに生い立ちを調査するさくらの周辺では、さまざまな怪奇現象が頻発しはじめる。

愛之助が演じるのは、主人公の楳図かずお役。今年、TBS系ドラマ『半沢直樹』のオネエ言葉の役柄で大ブレイクも、同ドラマの撮影前から出演オファーを受けていたという。愛之助は、当時の心境を「全然似てないのに大丈夫か、と心配になりました」と明かし、「僕らの世代は『まことちゃん』などずっと読んでいましたし、先生は近づきがたい憧れの人で、まさかご本人にお会いできるとは思ってもいませんでした」と喜びのコメント。「撮影はオールロケで、考えられないような早いスピードで進みました。とにかく1日の撮影シーンが多い。合間に舞台も務めておりましたので、休憩している間もなく、常に出ずっぱりという感じで撮影し、中抜けして舞台を務めて、また撮影現場に帰ってくるという毎日。非常に濃密な時間を過ごしました」と多忙な日々を振り返っていた。

一方、77歳にして映画監督デビューを果たした楳図監督は、「年齢はハンデだとは全く感じておらず、逆に年を重ねるに従い創作の引き出しは増えていっていると思っている」と語り、「(プロデューサーから映画監督をやってみないかと)お話を頂いた時がチャンスだと思い挑戦しました」と経緯を明かす。愛之助の起用理由を「ほんわかした、のほほーんとした雰囲気が役にぴったり」と明かし、「仕事にのめり込んで、夢中になってやっているところも共通点だと感じました。舞台をやっていらっしゃるので、声がはっきりしていてメリハリのあるお芝居が素晴らしかった。愛之助さんにお願いして本当に良かった」と満足気だった。

映画は今年の11月13日に高尾・楳図邸でクランクインし、千葉・松戸、静岡・御殿場、沼津をへて、11月下旬にクランクアップした。