厚生労働省は14日、「2011年度 国民医療費の概況」を発表した。それによると、2011年度の国民医療費は前年度比3.1%増、金額で1兆1,648億円増の38兆5,850億円となり、5年連続で過去最高を更新した。

国民医療費は、その年度内に医療機関などで保険診療の対象となる治療にかかった費用の推計。

国民1人当たりでは、前年度比3.3%(9,700円)増の30万1,900円と初めて30万円を突破し、5年連続で過去最高を更新した。

国民医療費・対国内総生産及び対国民所得比率の年次推移(出典:厚生労働省Webサイト)

1人当たりの国民医療費を年齢別に見ると、65歳未満は17万4,800円、65歳以上は72万900円。このうち医科診療医療費は、65歳未満が12万700円、65歳以上が53万6,900円。歯科診療医療費は、65歳未満が1万7,700円、65歳以上が3万1,400円。薬局調剤医療費は、65歳未満が3万400円、65歳以上が12万2,700円だった。

1人当たりの国民医療費の対前年度増減率については、65歳未満は3.2%の増加、65歳以上は2.6%の増加となった。

国民医療費総額を年齢別に見た場合、65歳以上は21兆4,497億円となり、全体の55.6%に上った。このほか、0~14歳は2兆4,835億円(構成比6.4%)、15~44歳の5兆1,258億円(同13.3%)、45~64歳の9兆5,261億円(同24.7%)となった。

診療種類別に見ると、医科診療医療費は27兆8,129億円(構成比72.1%)で、うち入院医療費は14兆3,754億円(同37.3%)、入院外医療費は13兆4,376億円(同34.8%)。このほか、歯科診療医療費は2兆6,757億円(同6.9%)、薬局調剤医療費は6兆6,288億円(同17.2%)、入院時食事・生活医療費は8,231億円(同2.1%)、訪問看護医療費は808億円(同0.2%)、療養費等は5,637億円(同1.5%)となった。

医科診療医療費を主傷病による傷病分類別に見た場合、最も多かったのは「循環器系の疾患」で5兆7,926億円(構成比20.8%)。以下、「新生物(がん)」が3兆6,381億円(同13.1%)、「呼吸器系の疾患」が2兆1,707億円(同7.8%)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」が2兆898億円(同7.5%)、「内分泌、栄養及び代謝疾患」が1兆9,928億円(同7.2%)と続いた。

国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は8.15%(前年度7.79%)、国民所得(NI)に対する比率は11.13%(同10.62%)だった。

また、国民医療費の財源を調べたところ、公費は14兆8,079億円(構成比38.4%)で、うち国庫は10兆307億円(同26.0%)、地方は4兆7,772億円(同12.4%)。保険料は18兆7,518億円(同48.6%)で、うち事業主は7兆7,964億円(同20.2%)、被保険者は10兆9,555億円(同28.4%)。その他は5兆252億円(同13.0%)で、うち患者負担は4兆7,416億円(同12.3%)となった。