--実際に9月のインターンシップはどのような内容だったんですか?

「マーケティングもエンド―ユーザーの気持ちを考えることが大切」と三神さん

9月は、学生さんと一緒に女子大生向けの売り場のプロモーションを考えました。マーケティングを学ぶ方が増えていますが、机上で考えるマーケティングってないのではないかと思いまして。「現場にいる」というイメージの会社だからこそ、マーケティングのリアルな点を伝えたかったんです。

中間発表のときには、さすが勉強しているだけあって「3C分析によると…」などとまとめてくれたのですが、より現場視点、お客さま視点で考えることをお伝えしました。本当にお客さまが喜ぶのかという点を詰めていき、最終的には現場社員が「いいね!」という案がいくつか出ました。何事もエンドユーザーが存在して、エンドユーザーの気持ちを考えるマーケティングをしなければならない…と繰り返し伝えたのですが、その視点は例えばメーカーに行っても大事なはずだと思います。

10月、11月、更に今後の構想も

--10月のインターンシップはどのような内容ですか?

2日間、「食の可能性を考えるインターンシップ」を行います(※取材時点は開催前)。就職活動では「食は身近だから食品メーカーにいきたい」という方が多いんですが、もっといろんな食への関わり方や仕事内容を知ってほしいなと。目の前のお客さまをイメージしたときに、どうしたらこのお客さまの冷蔵庫や食卓を変えられるのか、といったことを考えていきます。実際のバイヤーやマネージャーを招いて、ひな祭りやクリスマスのときに食べるものの概念を変えられないか、百貨店発信で何を行うか、ということも考えていきます。

--わくわくしますね!

10月インターンシップの様子

エンドユーザーのことを考えられるか、川下だからこその視点を本気で考えられるかと、徹底的に詰めていくインターンシップですね。既に「自分が今注目している食品をプレゼンする」という宿題を出しています。例えば「あのレストラン並んでいるな」「パンケーキがはやってるな」というときに、「何で今パンケーキなんだろう」「ほかのレストランとどう違うんだろう」と、もっと考えてほしい。そんなにおいしさが違うのか、実は接客の問題なのでは…と、いろいろな視点があるはずなんですよ。

--11月は何をする予定ですか?

こちらは9日間で実際に三越伊勢丹の店舗で販売を経験しつつ、三越伊勢丹のマーケティングの基本に触れるインターンシップをする予定です。他にも、数人限定のプレミアムインターンシップなどの構想があります。物産展を一緒に考えたり、新商品の企画を考えたり、みっちり社員と一緒にやる、面白そうでしょう?

エンドユーザー=学生の気持ちを考えたインターンシップ

就職活動はおいといても、「あそこに行けば何か気づきになるよね」ということを、毎月行っている場にしたい。10月の3連休でさえ、「用事があって、行きたいけど行けないんです」という話を聞くのですが、そんなときも「11月もやってるから、次回参加してね」と言えますし。

--そもそも、この企画自体がエンドユーザーの気持ちを考えて成り立っているという印象を受けます。

ありがとうございます。三越伊勢丹の社員って、無意識にもユーザー視点で考えるのが好きなのかもしれません

--現場社員の協力に苦労している会社もあるかと思いますが…

現場マネージャーからのフィードバックも

既に長年インターンシップをやっていることが、土壌になっています。「実は秋もやることになりまして…」「次は毎月やろうかなって」と、ちょっとずつさりげなく…(笑)。基本的にはチームで働いている社員が多いので、育てるという意識を持っている社員が多いんですよ。「せっかく来たので、学生さんにも何か持って帰ってもらいたい」と考える社員が多いですね。

ただ、就業体験として店頭に立ったらお客さまではないので、こちらも本気で指導でします。今日何人のお客さまにお声掛けし、いくらお買い上げいただいたのか、目標に対して自分がどれだけがんばったのか…だめだったらだめでいいんです。できなかったと言ったら、なぜできなかったのか、明日どうするのかと詰めていきます。必ず先輩社員が1人つくので、新入社員と同じ扱いですね。

最終的には、弊社だけでやる必要もないかと思っています。例えば食のインターンシップなら、食品の企業と一緒にできれば一番いいし、大学の授業にするというのもありですよね。

--いろいろ広がっていったら面白いですね

そうなんです! 広げていきたいです。