東京メトロと日立製作所は7日、「非常用地上バッテリー装置」(EM-B traction)を用いた車両の走行実験を行うと発表した。2014年1月開始を予定している。

通常時は回生電力を吸収して加速列車をアシスト、大規模停電時は電車線への電力供給を行う(画像は東京メトロ提供)

両社は共同で、今年3月から同装置の研究を進めている。震災などの大規模災害で停電が発生した際、駅間や長大橋りょうに停止した列車が最寄り駅まで自走するためのもので、列車の停止または減速時に発生する回生電力を吸収し、蓄電池に貯蔵した上で、列車の運行に必要な電力として利用する。同装置は日立が蓄電池式回生電力貯蔵装置(B-CHOPシステム)で確立した技術を応用したシステムだという。

現在、停電などで駅間に列車が停止し、走行できなくなった場合、駅員が救援に向かい、乗客の安全を確保した後、線路上を歩いて避難する措置が取られる。「非常用地上バッテリー装置」により、停電などの非常時も電車線に電力が供給されるため、列車は最寄り駅まで自力で走行でき、乗客の安全かつ迅速な避難が可能に。通常時は蓄電池に貯蔵された電力で加速列車をアシストし、省電力化にも貢献するシステムとなる。

東京メトロは来年1月から始まる車両走行実験で、同装置の性能を検証し、すでに実験が行われた「非常用車上バッテリー装置」とともに導入の可能性を検討する。日立も走行試験での性能評価とシステム最適化の検証を通じ、「鉄道輸送の安全性向上と省エネ化に貢献する鉄道システム」の実現をめざすとしている。