本田技研工業(ホンダ)がフルモデルチェンジして発売した新型「フィット」「フィット ハイブリッド」。その発表会には同社代表取締役社長執行役員の伊東孝紳氏も駆けつけた。クラストップレベルの低燃費「36.4km/リットル」(JC08モード)という数字とともに、3代目となる新型の詳細が公表された。

3代目となる新型「フィット」(写真右)。初代(写真左)と2代目(同中央)のモデルも並んだ

"夢の国"から「魔法のような燃費と走り」の新モデル発進!

発表会は舞浜アンフィシアター(千葉県浦安市)にて開催された。東京ディズニーリゾート内にある同劇場には、世界最高水準の低燃費36.4km/リットル(JC08モード)を実現した「フィット ハイブリッド」をはじめ、「フィット」1.3リッターガソリン車、1.5リッターガソリン車の各タイプがずらりと並んだ。

新色のビビッドスカイブルー・パール(ハイブリッド専用色)をはじめ、全11色のモデルが展示され、会場は隣接するテーマパークさながらのカラフルな空間に。発表会の冒頭、伊東氏はディズニーランドが子供の遊園地という枠を超えた"夢と魔法の王国"であることを引き合いに、「新しいフィットはスモールカーの枠を超えて、『魔法のような燃費と走り』を実現しました」と表現した。

新型を象徴するビビッドスカイブルー・パールの「フィット ハイブリッド」と伊東氏

新色5色を含む、全11色の色見本。各色の実車も展示された

人々の生活を支え、世界中で愛される存在をめざす

発表会では、開発責任者である本田技術研究所 四輪R&Dセンターの小西真氏も登場。「開発にあたり、最初に思い描いたのは、4輪車の『スーパーカブ』のような存在」と、新モデルのコンセプトを明かした。「スーパーカブ」は出前や郵便配達などでおなじみのバイクで、1958年の発売以来、世界160カ国以上で8,350万台以上を生産している。

この「スーパーカブ」のように、人々の生活を支え、普遍的価値を認められる存在になることが、新型「フィット」の目標というわけだ。

外観は「フィット」らしさを受け継ぎながらも、"顔"が一新された。写真は走りのグレード「RS」

「RS」の内装。専用ファブリックにオレンジのステッチを、シフトレバーには本革を採用

「HYBRID Lパッケージ」の内装。質感の高いコンビシートや本革巻ステアリングを採用

「フィット」の普遍的価値とは何か? これに関して、「空間、燃費、かっこよさ」と小西氏は定義。「かっこよさ」については、エクステリアでのディティールへのこだわり、インテリアの質感の高さを、どちらも「コンパクトカーの概念を打ち破る」と胸を張った。「空間」についても、歴代「フィット」から広さと使い勝手の良さをさらに進化させたと語った。

実際に展示車両も見学したが、とくにインテリアの質感が、この価格帯への期待以上の仕上がりになっていて、満足の行くものだった。

先代「フィット ハイブリッド」発表時には、ボディカラーによってはアイボリー系の内装色しか選べなかった記憶がある。このクラスでアイボリー系の上品さを引き出すのは難しい、と個人的に思っていたので、今回は全車においてブラック系の内装を選べるというのもいい。黒は無難だが、ベースモデルのファブリックでもそれなりにかっこよく見せられる。

新開発された3種類のエンジンやCVTのカットモデルが展示され、テクノロジーもアピール

「フィット ハイブリッド」では、モーター内蔵の7速DCTを組み合わせた1.5リッターエンジンを搭載する

小西氏は低燃費を実現したテクノロジーについて、「エンジン、トランスミッション、プラットフォーム、すべてを刷新した」と解説。各モデル用に3種類のエンジンを新開発し、トランスミッションもそれぞれのエンジンと最高の組み合わせとなるように開発したという。注目の「フィット ハイブリッド」には、1.5リッターエンジンと高出力モーターを内蔵した新機構、7速デュアルクラッチトランスミッションとの組み合わせが採用されている。

こうした進化を踏まえ、「日本を代表するコンパクトカーとして、世界中で愛されるクルマになってほしい」と小西氏は締めくくった。新型「フィット ハイブリッド」の価格は163万5,000円から、「フィット」は126万5,000円からとなっている。